ライノウィルスは変異を起こしやすく、100種類以上のウィルスが存在するために、一度罹患しても別のライノウィルスに罹患する可能性もあります。ですからワクチンなどを製造することは難しく、1年の間で何回も風邪をひいてしまうこともあるのです。比べてインフルエンザウィルスに罹患した場合には、症状が重く、乳幼児や高齢者では脳炎、肺炎などの重篤な合併症を来すことがあります。最悪、死亡などの転帰になることもあります。ですから、多くの人たちが予防接種をし、インフルエンザウィルスに有効な薬が次々と開発されているのです。
話をもとに戻すと、インフルエンザワクチンを接種したから、それ以降に風邪に罹患しないかといえば、そんなことはありえません。「風邪」という病名自体があまりにも多くの病気を含んでおり、それを予防する薬は、現在のところ存在しないんです。原始的に思えるかもしれませんが、こまめにうがい、手洗いなどの基本的な予防策を励行することが大事です。ただし、幼少期に接種が推奨されている麻疹、風疹、おたふくかぜなどのように、接種をすれば、おおむね予防できる疾患もたくさんあることも改めて認識して頂きたいです。インフルエンザは、そうした風邪つまり「風邪症候群」の中のひとつです。詳しくは知られていないと思いますので、簡単に説明させて頂きました。