神戸と大阪の中間に位置し、「住みたい街ランキング」で上位に選ばれる兵庫県西宮市。緑豊かな六甲山系と大阪湾に囲まれ、高校野球と阪神タイガースの聖地「甲子園球場」へ全国から野球ファンが訪れる。関西屈指の人気を誇る48万人都市は2025年、市制施行100周年を迎えた。よりよい街づくりを見据え、西宮市の石井登志郎市長、西宮市商店街市場連盟の實松洋輔常任理事、元阪神タイガース投手で西宮市在住の下柳剛さんが語り合いました。(司会進行は神戸新聞DX推進局長・藤原学)
西宮市の住みやすさ
ー西宮市は住みたい街ランキングで上位に入る人気自治体。大阪や神戸へのアクセス、阪急西宮ガーデンズなどの商業施設、子育て環境の充実が挙げられる。
石井市長「今言っていただいた通り、西宮市は交通アクセスや買い物、通院の利便性と、今津浜や甲子園浜、甲山(かぶとやま)のような自然環境、そして公園行政で確保している『ゆとりの空間』がほどよくあります。また、大学など教育施設がたくさんあり、『この街で子どもを根を張って育てていこう』と思っていただけているのかな」
下柳さん「西宮市に20年以上住んでますが、外でご飯食べたり、買い物したり、犬を散歩したりしていて、周りは(元阪神の下柳だと)気づいていてもそっとしておいてくれる。私の現役当初あった阪急西宮球場や競輪場がなくなり、跡地に阪急西宮ガーデンズができた。グルメもファッションもすべてそろう。困ることがないんですね」
實松さん「西宮浜へ行けば裸足で歩ける芝生や海がある。紅葉が見たければ山がすぐそこにある。子育ての時期は、西北(阪急西宮北口駅)周辺に塾がいっぱいあって、大変助かりました。西宮は子ども時代から老後まで安心して過ごせる場所」
公共空間のマナー
ー西宮市の住みよい環境を維持するために、公共空間のマナーは大切です。石井市長は公園行政に力を入れています。
石井市長「夙川公園(夙川河川敷緑地)は1937年に、河川敷を緑地公園にして誕生しました。当時、河川敷は民間に売却されるケースが多い中、夙川では緑を保全する空間にしたんですね。ゆとりを持った魅力ある空間を作ろうと受け継がれてきたものが、今も脈々と息づいていると思います」
實松さん「夙川沿いの公園はゴミ箱がすべて撤去されました。なぜでしょう?」
石井市長「私の指示です。なぜかと言いますと、人はゴミ箱があるとゴミをそのゴミ箱に捨てるんです。例えばポテトチップスを食べた袋をゴミ箱に捨てて、夜に風がビューンと吹くと、袋が川に落ちてドンブラコ、ドンブラコと海へ流れていく。(公園環境を守るために)そもそもゴミ箱がなければどうなるのか、という議論をすごく積み重ねて、『自分のゴミは自分で持って帰ろう』という結論になりました。公園周辺の環境と利用者の意識変容のためにそうしました」
下柳さん「犬の散歩をしている市民も、みんなバッグを持参して糞を持ち帰る人がほとんど。犬の散歩で公園に出入りできなくなったら困るから、自分はよその犬の糞でも拾いますもん」
實松さん「商店街にペットを連れて歩くのはいいんですが、お店の壁や看板に飼い犬がマーキング(おしっこ)したまま放置される一部の飼い主さんが問題になっています。『お宅の玄関や自転車にかけられてもいいんですか』と尋ねると『嫌よ』とおっしゃる。『ご自宅でされたら嫌なことを商店街でされるんですか。マナーを守ってください』という声掛けに取り組んでいます」
喫煙マナー
ーイベント時はたばこのポイ捨ても増える?
實松さん「商店街沿いの車道を歩行者天国にするイベントを毎年行っています。今年はJR甲子園口駅前に、喫煙所をテント二つ分設けて作ったんです。『喫煙所はこちらです』と分かりやすく示して。するとたばこのポイ捨てが今年は見当たらなかった。商店街では『喫煙所があってよかった。来年も作ろうか』という話が出ています」
ー阪急西宮北口駅やJR西宮駅周辺に喫煙所を設ける可能性は。
石井市長「何事も可能性がゼロではありませんが、(駅周辺は)なかなか広くありませんから、悩ましいところです。(喫煙所を設ける計画はゼロ?)計画はゼロです」
下柳さん「喫煙所があったほうが隠れてポイ捨てする人が出にくい。JR甲子園口駅近くにはものすごい数の吸い殻が落ちている場所がある」
實松さん「甲子園口の商店街店主では『あそこに行って吸ってください』と路上喫煙者に言いやすいという理由で、喫煙所設置を望む声が増えている」
石井市長「(喫煙所が)あった方がいい。具体的にここにこういう形であった方がいいという地域のコンセンサスがあれば、今の意思決定も変わっていくことはあるでしょう」
クリーン活動と意識変容
ー西宮市では1989年から年2回、市を挙げての清掃活動「わがまちクリーン大作戦」が開催されています。30年以上続き、2023年6月実施時には435団体、3万719人が参加し、58トンのゴミを回収しています。
石井市長「西宮市は2003年、『環境学習都市宣言』をしました。子どもたちはお店などで地球にやさしい買い物をすると、お店の人にエコカードにハンコを押してもらう。ハンコを集めると兵庫県の木材で作ったバッジがもらえます。そのような仕掛けが学校、自治会を通じて広がり、『(環境活動が)普通にあるもんでしょう』という風に広がっているのかなと思います」
マナー向上へ
下柳さん「甲子園球場もゲートにゴミ箱を置いたら、みんなそこに捨てに行くようになって、スタンドのゴミが減った。街を自分の家だと思って暮らせばいいんじゃないですかね。自分の家や敷地だと思えば、街を歩いてても捨てませんよね」
「自分が大好きな街が汚れるのは嫌なこと。マナーを守って犬の糞の始末とたばこのポイ捨てだけはやめてくれよと思います」
實松さん「商店街では一時期、隣近所の顔を知らないっていう人が増えていたので、新年会をやってみた。ポイ捨ての指摘といった注意喚起も、コミュニケーションがあって成り立つのかも」
石井市長「行政は『住んでいる人たちのコンセンサスが得られるだろう』『幸せになるだろう』と思って法律、条例を作り、意思決定を行っています。喫煙所を作るということについても、今計画はありませんけども、『やはりあった方がいい』、具体的に『ここにこういう形であった方がいい』という地域のコンセンサスがあれば、当然、今の意思決定も変わっていくだろうし」
「いろんな人がいろんな考え方、価値観で生きていて、どうやってみんなで思いやりを持ちながら、コンセンサスを図っていくか。ここが難しいところ。實松さんが言ったように顔を合わせて話をして、『あ、そういうことか 』『じゃあ、しょうがないな』ということもあるだろうし、『こう理解したらできるじゃないか』ということもあるだろうし。それ(相互理解)をみんなで作っていくことが大切なのかなと思います」
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