通勤で利用する駅の工事現場で、通行人一人ひとりに会釈をしていた警備員さん。いつもていねいに頭を下げる姿を見て、自分も会釈を返すようになったところ、ある変化が起きました。自分が前を通るときだけ警備員さんが姿勢を正し、いつもより深々と「通常の1.5倍くらいきれいな会釈」をするようになったのです。こちらも負けじと、さらに深く頭を下げるようになり、いつしか「お互い謎の会釈バトルが始まった」といいます。
この出来事をX(旧Twitter)に投稿したのは、ハロさん(@halo_kabe)。2026年10月17日に連投で経緯をつづると、約287万回表示され、約3.5万件の「いいね」が付きました。
ハロさんによると、会釈が続いたのは「確か…2021年あたりから…2022年の中ごろだったような…気がします」。投稿した日、会釈バトルをしていた現場を歩いたときに「そういえば、こんなことしたなぁ」と思い出したそうです。
通行人に会釈する工事現場の警備員が、自分の前を通るときだけ会釈を深くした
投稿によると、警備員さんは「ホントに前通る人全員にしてる勢いで会釈してて」。「これはすごい会釈力だと思った」ハロさんは、自分も歩きながら会釈を返すようになりました。
取材に、ほかの通行人への会釈は「ごく普通の我々が想像するであろう一般的な会釈」だったと話します。ところが、自分が前を通るときだけは、足をピタリとそろえて上半身を下げる角度が、それまで見ていた会釈より明らかに深くなっていたといいます。
ハロさんは「違う…いつもと…明らかに…!」と気づき、「謎の対抗心が芽生え」ました。歩き会釈の角度を「ほぼ地面しか見えないくらい」深くし、会釈の時間も「ちょい長め」にして返したそうです。
警備員さんが誘導や無線対応をしていて会釈ができない日は、「今日は休戦か…」と残念がることもあったと投稿に書いています。
会釈を重ねるうち、ハロさんは自分が頭を下げるごく短い間に、周りを歩く人も頭を下げているのが見えることに気づきました。投稿には「おもろいのが俺らの会釈バトルしてると周りの人が、俺らにつられて会釈してたこと」とあります。
一方、取材では、手を振られて振り返したら後ろの人に向けた手だった場面を挙げ、「アレの会釈版だったんじゃないかとも、今さらながら思っています」と話しました。
「毎日誰かを大勢巻き込んだわけではなく、たまたま我々の会釈の間に入った人がやってた感じだった」
投稿には「会釈し返す余裕があるの偉い」「とても素敵なバトル」といった返信が寄せられました。「会釈というあいさつができる人は、とても素晴らしいですね!!」と記し、「自分も会釈を心がけたいと思います」と続ける返信もありました。
運転中に工事現場のガードマンへ会釈するという人からは、「ガードマンがいる工事現場なんかは、必ず会釈して通過するマンですわ」「職種柄ガードマンを呼ぶこともあるんで」という返信も。警備員にあいさつを続けていると態度が変わっていく、という経験を書き込む人もいました。
会釈以外の交流は一切なし それでも「何かしらのシンパシー」はあったのではと振り返る
警備員さんとは、会釈以外での交流は一切していなかったといいます。
「数秒間の会釈は交流に入るのか??と言われたら少し首を傾げてしまいますが、何かしらのシンパシーはお互い間違いなくあったんじゃないかと、勝手に思い込んでいます」
工事が終わる時期もハロさんからは分からず、「いつの間にか終わってた…みたいな感じだった」ため、最後の会釈がいつだったかも覚えていないそうです。
冒頭の「もう言ってもだいじょびだろう」は演出 警備員に今伝えたいことは「一切ありません」
投稿の冒頭には「もう言ってもだいじょびだろう」とあります。工事が終わるまで投稿しなかった理由を尋ねると、特に深い理由はなく、ツイートのネタとして「まるで当時の会釈バトルが壮絶で、何かしらの関係各社に口止めされていたかのように振る舞う演出として、盛り込んだだけでした」との答えでした。「優秀なエシャカー(会釈者)としてスカウトされたら困る」というリプライも同じ世界観の演出ですが、会釈バトル自体は「紛うことなく実際に書いた通り行っていた」といいます。
あの警備員さんに今、伝えたいことを聞くと、こう答えました。
「警備員さんに改めて何かを伝えたいなどは、一切ありません。だって我々は会釈で交流?をしていたのですから」
「もし再び会うことがあってもすることは決まっています。会釈です」