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ゴミ屋敷の精神科医 患者の罵声などで疲弊しアルコール依存症「仕事のストレスが原因」ビール、酎ハイの空き缶で埋め尽くされ……650袋分のゴミを汗だく撤去

渡辺 晴子 渡辺 晴子

多くの患者の心に寄り添い、苦しみを抱える人たちと向き合ってきた精神科医の男性。しかし、自身の家は足の踏み場もないほどゴミが積み重なり、浴室には大量のお酒の空き缶が浮かぶ状態になっていました。

男性が片付けを依頼したのは、関西を中心に不用品回収やゴミ屋敷清掃を手がける「株式会社スッキリン」。同社がInstagram(@sukkirin_okataduke)とYouTube(スッキリンお片付けチャンネル)に公開した動画では、ゴミに埋もれた部屋の様子とともに、男性が片付けを決意するまでの苦悩が紹介されています。

人の心を救う仕事に就きながら、なぜ自分自身の生活がここまで荒れてしまったのでしょうか。スッキリンの担当者に、依頼の経緯や片付けの様子、男性が見せた変化について話を聞きました。

「人を救いたい」理想と現実のギャップに苦しんだ日々

今回、片付けを依頼したのは、精神科医として働く男性でした。依頼のきっかけは、生活環境を整え、心機一転したいという思いだったそうです。

男性は幼少期から孤独を抱えていたといい、その経験を糧に「人を救いたい」という思いから精神科医の道を選びました。

患者に寄り添い、社会に貢献したい。そんな理想を胸に仕事に向き合ってきましたが、現実は思い描いていたものとは違っていたといいます。

「患者さんから攻撃的な言葉を浴びせられたり、病院での治療に限界を感じたり、治療のゴールが見えないことに苦しんだりする現実があり、ギリギリの状態で働かれていました」

スッキリンの担当者は、男性から聞いた当時の状況をこう振り返ります。

本人は動画で「仕事のストレスが主(な原因)。大体(夜の)12時とかに帰ってきてました」と長時間の過酷な勤務が影響したと振り返り、「とにかく(体が)鉛のようで、仕事中以外は動けない」「それでも仕事には手を抜かなかった。抜けなかった」と語っていました。

理想と現実のギャップに苦しむうちに、男性は精神的に追い詰められ、アルコール依存の状態になっていったそうです。やがて、人生を終わらせたい思うほどの心境にまで至ったといいます。

しかし、ギリギリまで追い詰められた状況が、自分自身を見つめ直すきっかけになりました。

「現在の自分のあり方をはっきりと自覚し、底知れぬ不安を感じたそうです。そして『このままではいけない』という切実な思いが、片付けのご依頼につながりました」

男性は、自分の生活を立て直すため、スッキリンに助けを求めたのです。

浴室には空き缶が浮かび、布団の周囲にはゴミの山

依頼を受けたスタッフが男性の自宅を訪れると、そこには想像を超える光景が広がっていました。室内は足の踏み場もないほどゴミが積み重なり、特に目立ったのは大量のお酒の空き缶でした。

中でもスタッフの印象に強く残ったのが、浴室の状態だったといいます。

「洗い場の排水が詰まり、水が10センチほど溜まっていました。その水面には、大量のお酒の空き缶が浮かんでいたんです」

本来、体を清潔に保ち、疲れを癒やすはずの浴室が、大量の空き缶で埋め尽くされていたのです。さらに、6畳ほどの寝室も深刻な状態でした。

「ゴミがなかったのは布団の上だけでした。布団の横には、衣類や食品ゴミが崖のように積み重なっていました」

男性が眠るために確保できていたのは、布団の上のわずかなスペースだけだったといいます。

また、通販で購入した商品の段ボールも数多く放置されていました。驚いたことに、ゴミの下からはダイソンの掃除機やルンバといった高級掃除家電まで見つかったそうです。

掃除をするための家電がありながら、それらもゴミの中に埋もれていたという現実。男性の生活環境が、長い時間をかけて悪化していったことを物語っていました。

最初は自炊をやめることから…少しずつ崩れていった日常

男性の部屋は、最初からこのような状態だったわけではありません。スッキリンの担当者によると、生活が荒れ始めたきっかけは、日常の小さな変化だったそうです。

「最初は自炊をしなくなったり、通販の段ボールを片付けずに放置したりすることから始まったと伺っています」

その後、食品ゴミを袋に入れたままその場に置いたり、飲み終えたお酒の空き缶を放置したりするようになりました。

そうした行動が繰り返されるうちに、ゴミは少しずつ積み重なっていったといいます。

男性自身も、アルコール依存の状態になり、自分自身の生活や健康を大切にすることが難しくなる「セルフネグレクト」の一環として、片付けを放棄するようになったと話していたそうです。

ただ、室内の様子には意外な一面もありました。

「食べかけの食品がそのまま放置されているケースは少なく、食品ゴミは基本的に袋に入れて口を縛られていたため、室内の臭いはそこまで強くありませんでした」

ゴミを適切に処分することは難しくなっていたものの、食品ゴミを袋に入れて口を縛るという行動は続けていた男性。日々の生活が少しずつ崩れていく中でも、すべての生活習慣が失われていたわけではなかったようです。

ゴミの量は約650袋分!スタッフ6人がかりで6時間

こうして始まった大がかりな片付け作業。現場にはスタッフ6人が入り、2トントラック2台を使用しました。

回収したゴミや不用品の量は、なんと約30立方メートル。家庭用の45リットルのゴミ袋に換算すると、約650袋分に相当する量でした。

作業は室内担当3人、室外担当3人に分かれて進められました。マンションの一室だったため、袋詰めしたゴミをカゴ台車に積み込み、エレベーターを使って何度も運び出したといいます。

特に難航したのは、やはり浴室の清掃でした。

「まず水面に浮かんでいた大量の空き缶を回収し、その後、排水の詰まりを解消する必要がありました」

しかも、作業が行われたのは夏場。浴室は閉鎖的な空間で湿度も高く、スタッフにとって過酷な環境だったそうです。

「スタッフ全員が汗だくになりながら作業を進めました」

大量のゴミを運び出し、浴室の排水の詰まりにも対応しながら進めた作業は、約6時間に及びました。

こうして、足の踏み場もなかった男性の自宅は、ようやく本来の生活空間を取り戻したのです。

片付け後、男性の表情が一変「これも一つの人間としての経験」

作業が終わり、きれいになった部屋を男性に確認してもらったときのこと。スタッフの目に焼き付いたのは、それまでとは違う男性の表情でした。

「きれいになったお部屋をご覧になった際、ご本人の表情がパッと明るくなったことが印象に残っています」

そして、男性が口にした言葉が、スタッフの心に深く残ったといいます。

「これも一つの人間としての経験として糧にしたい」

苦しみながら過ごしてきた日々を、ただ消し去りたい過去として捉えるのではなく、これからの人生に生かそうとする言葉でした。スッキリンの担当者は、その姿を次のように受け止めています。

「物事を単純な善悪だけで判断するのではなく、人間のさまざまな側面を受け入れようとする姿勢が感じられました」

さらに、つらい経験さえも自分自身の幅を広げる糧にしようとする姿勢に、精神科医としての誇りやプロ意識を感じたそうです。

人の心の苦しみに向き合ってきた男性が、今度は自分自身の生活を立て直すために助けを求めた今回の依頼。ゴミ屋敷という言葉からは、単に片付けが苦手な人の問題だと考えてしまいがちです。しかし、その背景には、本人にしか分からない苦悩や事情が隠れていることもあります。

今回の男性にとって、部屋を片付けるという決断は、これまでの自分と向き合い、新しい生活を始めるための大きな一歩だったのかもしれません。

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 スッキリンへのお問い合わせ・スタッフ募集について

株式会社スッキリンでは、関西圏を中心に、ゴミ屋敷・汚部屋の清掃や不用品回収などの相談を受け付けています。片付けに困っている方や、ご家族の住環境について悩んでいる方は、公式Instagram(@sukkirin_okataduke)などからお問い合わせください。

また、同社では現在、一緒に現場を支えてくれる仲間となる作業メンバーを募集しています。

※採用条件や応募資格については、同社の最新の募集要項をご確認ください。

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