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「このままずっと払える?」一人暮らし84歳母 脳梗塞で右半身まひ 気づけば介護費用が増えて月3万超 いったいどうすれば?【社会福祉士が解説】

もくもくライターズ もくもくライターズ

首都圏で暮らす中村さん(仮名・54歳)は、会社員として働きながら、車で30分ほどの距離に住む母(84歳)の介護を続けています。母は2年前に脳梗塞で倒れ、右半身に麻痺が残りました。父は10年前に他界し、母は自宅で一人暮らしをしています。

退院した当初は要介護2で、訪問介護を週4回、デイサービスを週2回で利用を組み合わせ、介護費の自己負担は月2万円ほどでした。昨年の認定更新で要介護3になってからは、デイサービスを週3回に増やし、月に2泊のショートステイも利用するようになりました。気付けば、自己負担が月3万円を超える月も出てきています。

母の年金は月7万円ほどで、足りない分は中村さんが補っています。「必要なサービスだとはわかっているけれど、このまま払い続けられるのだろうか」と、中村さんは毎月の請求書を見るたびに不安を感じるようになりました。介護費の負担が重くなってきたとき、家族はまず何を確認し、どこに相談すればいいのでしょうか。

介護費が増えた理由はどこにあるのか

介護保険のサービスを利用したときの自己負担は、原則として費用の1割です。一定以上の所得がある人は2割または3割になり、どの割合にあたるかは「介護保険負担割合証」に記載されています。負担割合証の有効期間は8月1日から翌年7月31日までの1年間で、毎年7月ごろに新しいものが届きます。

次に、利用しているサービスの種類と回数を請求書で確かめます。在宅サービスには、要介護度ごとに1カ月あたりの「支給限度額」が定められています。要介護2は1万9705単位、要介護3は2万7048単位です。1単位あたりの金額は地域やサービスの種類によって異なるため、実際の利用限度額には地域差があります。限度額を超えて利用した分は全額自己負担になります。

デイサービスの食費や、ショートステイの食費・滞在費も、介護保険の対象外のため全額自己負担です。請求書を保険の自己負担分と保険外の費用に分けて見ると、どこで増えているのかがわかりやすくなります。

ケアマネジャーに今の利用内容を相談する

利用内容を見直したいときの相談先は、担当のケアマネジャーです。ケアマネジャーは「介護支援専門員」とも呼ばれ、本人の状態や家族の希望を踏まえて、利用するサービスの計画を作ります。事業所との調整を担っているほか、費用の不安も相談できます。

相談するときは、直近数カ月分の請求書と負担割合証を用意し、何にいくらかかっているのかを一緒に確認します。見直しの目的は、サービスを減らすことではありません。支援が重なっていないか、今の状態に回数が合っているかを確かめ、必要な支援は残しながら組み合わせを整えていきます。自己判断で回数を減らすと本人の体調に影響する場合もあるため、ケアマネジャーと相談しながら決めることが大切です。

市区町村に確認したい、自己負担を軽くする仕組み

◆月ごとの自己負担額には上限がある
介護保険の自己負担には、所得に応じた1カ月あたりの上限額があり、超えた分は「高額介護サービス費」として支給されます。中村さんの母のように、世帯全員が住民税非課税で、公的年金等収入額とその他の合計所得金額が年82万6500円を超える場合、上限額は世帯で月2万4600円です。住民税が課税されている世帯では、所得に応じて月4万4400円から月14万100円までの区分があります。支給を受けるには市区町村への申請が必要で、食費や滞在費は対象になりません。

◆世帯の状況によって使える軽減の仕組み
低所得で生計が困難な人を対象に、制度の実施を申し出ている社会福祉法人などが提供する対象サービスについて、利用者負担を原則4分の1軽減する制度もあります。年間収入や預貯金の額などの条件があり、市区町村への申請が必要です。利用している事業所が対象となるかも含め、市区町村の介護保険担当窓口で確認するとよいでしょう。また、自治体独自の支援がある場合もあります。

  ◇  ◇

中村さんは、担当のケアマネジャーと半年分の請求書を見直しました。月3万円を超えていた負担の中には、介護保険サービスの自己負担分に加え、ショートステイの食費や滞在費など、高額介護サービス費の対象にならない費用も含まれていました。

利用内容を確認すると、訪問介護とデイサービスで入浴の支援が重なる日があったため、訪問介護もデイサービスも週3回として、入浴はデイサービスでまとめることにしました。一方、中村さんが体を休める時間になっているショートステイは続けることにしました。

市役所の介護保険担当窓口では、母の世帯は高額介護サービス費の上限が月2万4600円の区分にあたることも確認しました。この上限が適用されるのは介護保険サービスの自己負担分で、ショートステイの食費や滞在費などは含まれません。中村さんは、今後、対象となる自己負担額が上限を超えた場合に利用できる制度として確認しました。

介護にかかる費用そのものが2万4600円になるわけではありませんが、何にいくらかかっているのか、どこまでが制度の対象になるのかが分かり、今後の費用を見通しやすくなりました。

「削るか、全部払い続けるかの二択だと思い込んでいました。母に必要なものを考えたら、残すものと見直すものを分けられたんです」と中村さんは話します。

親の介護費が増えると、必要な介護を続けながら家計とのバランスをどう取るか、判断に迷うことがあります。負担が重いと感じたときは一人で抱え込まず、まずは請求書を手に、担当のケアマネジャーや市区町村の介護保険担当窓口に相談してみてください。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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