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大腸がんでも「入院必要なし」と言われた75歳母 数日で食欲も体力も低下、トイレも行けず「介護認定が間に合わない!」家族はどうすれば?【社会福祉士が解説】

もくもくライターズ もくもくライターズ

会社員の健太さん(45歳・仮名)は、一人暮らしをする75歳の母(仮名)の異変に言葉を失いました。大腸がんで通院治療中だった母は、大きく体調を崩し病院を受診したものの、入院の必要がないということで自宅療養をしていました。一日に一度、仕事帰りに母の様子を確認しに自宅を訪れていた健太さんでしたが、母は急激に食欲が落ち、数日のうちにトイレにも介助が必要になるほど体力が低下してしまいました。

健太さんは再び病院に連絡し、母の状態について主治医に相談。自宅で療養を続けることになったものの、日常生活には介助が必要な状態だったため、市区町村の窓口で要介護認定を申請しました。しかし、結果が出るまでには時間がかかります。「認定を待っている間、母の生活はどうなってしまうのか」「仕事がある自分がずっと付き添うのは現実的ではない。どうしたらいいのか」と、健太さんは強い焦りと不安を感じました。

病気やけがなどによって短期間で体の状態が変化し、急に介護が必要になることがあります。要介護認定を申請したものの、結果を待つ間にも介助が必要な場合、家族はどこに相談し、どのように介護の体制を整えればよいのでしょうか。

認定結果を待っている間、介護はどうする?

親の介護が必要になった際、最初に直面する課題の一つが要介護認定にかかる時間です。介護保険法では、市区町村は要介護認定の申請から原則として30日以内に結果を通知すると定められています。一方で、介護が必要になるタイミングは認定結果を待ってくれるとは限りません。

特にがんの療養中は、短期間で急激に状態が変化する場合があります。昨日まで歩けていた人が、数日のうちに介助を必要とするなど、生活状況が大きく変わることがあります。

このような状況で「認定結果が出るまで何もできない」と考えてしまうと、家族だけで介護を抱え込むことになりかねません。要介護認定は、申請日にさかのぼって効力が生じます。また、認定結果が出る前でも、必要に応じて暫定ケアプランを作成し、介護サービスを利用できる場合があります。

認定前でも使える?暫定ケアプランという方法

健太さんはこの状況に対処するため、母が通院している病院の医療ソーシャルワーカーに相談しました。医療ソーシャルワーカーは医療機関に配置されている福祉の専門職であり、患者やその家族が抱える生活上の課題について相談に応じてくれます。

相談を受けた医療ソーシャルワーカーは、本人や家族の了承を得て、母が住む地域の地域包括支援センターに連絡を入れました。地域包括支援センターは、保健師や社会福祉士などが在籍し、高齢者の暮らしを地域でサポートする総合相談窓口です。

そこで提案されたのが、暫定ケアプランを活用した介護サービスの利用です。暫定ケアプランは、要介護認定の結果が出る前に、予想される要介護度に基づいてケアマネジャーが仮の計画を作成する仕組みです。この計画を作成することで、結果を待たずに訪問介護や訪問看護などのサービスを利用できる可能性があります。

一方、利用には注意点もあります。実際の認定結果が予測より低かった場合や、非該当と判定された場合には、自己負担が生じることがあります。認定された要介護度の支給限度額を超えてサービスを利用していた場合などには、その分が全額自己負担となります。健太さんはこれらの条件や実費が発生するリスクについて説明を受け、同意した上でサービスの利用を開始することにしました。

医療と介護をつないで自宅療養を支える

暫定ケアプランの作成にあたり、地域包括支援センターは母の主治医とも連絡を取り合いました。がんの療養においては、医療的なサポートと生活面のサポートを両輪で進める必要があるからです。

主治医の指示書をもとに訪問看護師が定期的に自宅を訪れ、がんによる痛みのコントロールや体調の確認を行うことになりました。また、訪問介護を利用して、排せつの介助や食事の準備といった日常生活の支援も導入されました。

  ◇  ◇

健太さんは、医療機関や地域の専門職に相談し、暫定ケアプランを活用したことで、要介護認定の結果を待つ期間も、母の自宅療養を支える体制を整えることができました。

急な病状の変化によって介護が必要となった場合でも、適切な窓口へ相談することで、要介護認定の結果を待たずに介護保険サービスを利用できる場合があります。まずは、かかりつけ医、病院の医療ソーシャルワーカー、あるいはお住まいの市区町村に設置されている地域包括支援センターへ、現在の困り事を伝えてください。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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