今年の春ごろから、阪急神戸線の御影駅付近にあった中線の撤去作業が続いています。御影駅付近の中線は単なる引き込み線ではなく、長年にわたり神戸線の運行にとって欠かせないものでした。この中線の撤去から、今後の阪急、ないし今後の関西私鉄の鉄道に対するあり方が垣間見えるかもしれません。
撤去される御影の中線
阪急御影駅(神戸市東灘区)自体は2面2線の何の変哲もない駅です。一方、駅の西側には神戸三宮行きのレールと大阪梅田行きのレールに挟まれる形で、中線が存在しました。基本的に中線に入る定期営業列車はなく、神戸三宮方面からの電車の折り返しや、回送列車の待機場所として使われました。
今年の春頃から重機を使った撤去作業が進み、9月下旬時点では本線につながるポイントは撤去され、わずかに中線が残るばかりでした。このペースで進みますと、完全に中線が消滅するのも時間の問題かと思われます。
神戸線の歴史を見続けてきた御影の中線
御影の中線は1968年、阪急電鉄と山陽電気鉄道の相互直通運転の開始に合わせ、運用を開始しました。阪急は山陽の須磨浦公園駅まで、山陽は御影駅の西隣にあたる六甲駅まで乗り入れました。しかし、六甲駅には折り返し設備がないため、同駅で乗客を降車させた後に、回送列車として中線へ進入。中線から始発駅の六甲駅に向かって折り返しました。
1995年の阪神・淡路大震災の際、御影~岡本間の復旧が遅れ、阪急は三宮(現神戸三宮方面)方面から御影止まりの列車を設定。中線は上り線(梅田方面)から下り線(三宮方面行きホーム)への渡り線として使われ、営業列車が中線に進入しました。
山陽の六甲乗り入れ廃止以降の中線は2022年12月まで主に、10両編成の増結用車両の待機場所として使用されました。具体的には、西宮車庫(兵庫県西宮市)から増結用の2両編成が回送列車として神戸三宮駅へ向かう際に、御影の中線に入線し、後続列車の通過待ちをしていました。
このように御影の中線は地味ながらも、神戸線の運行を支え続け、欠かせない存在といえるでしょう。
運行のスリム化と中線の撤去
2025年2月に神戸線でも10両編成の運行は廃止となりました。廃止に伴い、増結用の2両編成も運用から離れ、中線の存在意義は消滅しました。
10両編成の廃止に伴い、駅での分割・併合作業の廃止、中線の廃止など、設備面でのスリム化が目立ちます。現在の需要動向を見つつ、今後の労働人口の減少を見据え、身の丈にあった設備の維持を目指しているように感じます。