「ユースワーク」という言葉が最近聞かれるようになった。明確な定義はまだないが、思春期などの子ども・若者の育ちや活動を地域で支援する取り組みを指す。若者らの交流・活動の拠点が「ユースセンター」で、支援を実践するスタッフは「ユースワーカー」と呼ばれる。人口流出問題などから若者との結び付きを強めることが自治体や地域の課題となる中で注目され、多様な形で活動が展開されている。
「地方×ユースワークを考える」と題した公開フォーラム(主催・ユースワーカー協議会=京都市)が7月、広島県福山市のユースセンター「ふらっと」で開かれた。市がJR福山駅前の天満屋福山店に4月に開設した施設だ。
ユースセンターは、中高生や若者にとって家庭や学校以外の「第三の居場所」である。自由に過ごすとともに、やりたいことを後押しする場所としての役割が期待される。
福山市は調査などでニーズが強かったことから設置。市の森島弘法こども・若者応援担当課長は「日常の延長線に若者が気軽に通える場を商業施設内に設けた」と説明した。運営はノウハウがあるNPO法人どりぃむスイッチに委託。交流や自習のスペースなどあり、1日約40人が訪れる。学校や年齢を超えたつながりが生まれ、「ボランティアをしたい」と積極的な意見も出ているという。
岡山県真庭市のJR久世駅前に設けられた民間のユースセンター「まぁぶる」の活動も紹介された。“中高生の秘密基地”を掲げ、中山間地域に少ない若者の居場所として2023年にできた。
学校ではできない活動にも挑戦。センター内に中学生の発案で駄菓子販売コーナーを設けた。中高生が小学生を指導する学習会も開催。試行錯誤しながら、やりたいことの実現を目指す。センターを拠点にしたグループは、市立図書館で文化祭を開いてまちの盛り上げを図るなど、活動を地域に広げている。
運営するNPO法人manabo―de(マナボーデ)の森年雅子理事長(39)は「広い市域の中でセンターが1カ所だけでは来られない生徒らも多い」と問題点を指摘。市内の他地区の公共施設などで「巡回型ユースセンター」を開設する試みも行っている。
フォーラムの参加者らは翌日には岡山、広島県の実践現場を訪問した。岡山市北区の奉還町商店街に22年に設立された民間の「奉還町ユースセンター」では、メンバーでつくった音楽部が演奏を披露。参加者らは商店街の各所を訪れながら、地域全体を活動の舞台とする「奉還町まるごとユースセンター構想」の説明を受けた。
若者がやりたい活動は施設内にとどまらず、商店街の店や人々と交流し、地域のイベントの企画・運営などに携わるようにもなり、地元との関係が強まっていった。構想は、商店街に若者がいるのが日常になり、安心して関われる居場所が地域に広がることを目指すという。
運営する一般社団法人SGSGの野村泰介理事長(48)は「居場所は物理的な空間だけではない。自分を知る人、気軽に立ち寄れる場所、相談できる相手といった関係が重なることで、地域そのものが若者の居場所になる」と話す。