大阪市北区の京阪電車中之島駅に、謎めいた風車のような巨大モニュメントがある。取材を進めると、京阪電車が抱く壮大な野望を象徴する代物だった。
中之島駅は、同駅と天満橋駅(中央区)を結ぶ中之島線の起点。2008年に開業した。
大阪市内の東西を結ぶ路線で、「東西軸」の活性化を掲げる京阪にとって重要な路線だ。
大きな風車のようなモニュメントは、中之島駅のホームの西端にある。
これは一体…。「シールドマシンの刃です」と京阪ホールディングス(HD)の広報担当者。
シールドマシンは、地下トンネルを掘削する際に用いる機械だ。安置されている刃の直径は5メートルほどで、中之島線を延伸する際に実際に用いられたものという。
上りと下りの両方に一つずつ刃が置かれている。刃の一部は切り取られているようで、今後、実際に使うことはできないようだ。
なぜ、後生大事にわざわざ飾っているのか。
「まだこの先もやるよ、という(延伸への)思いを示している」と京阪HD。
中之島駅は現在では行き止まりの駅だが、京阪HDは、西に位置する大阪メトロや阪神電車の九条駅(西区)まで延伸させる案を練っている。
九条駅からは、中央線で夢洲駅(此花区)まで行ける。
夢洲では、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の開業が予定されている。
延伸が実現すれば、京阪出町柳駅(京都市左京区)から夢洲まで乗り換え1回で行けるようになる格好だ。
中之島線は現状では盲腸線のような状況だが、延伸すれば、さまざまな鉄路と結節し、利便性が大幅に高まっていくと期待されている。
延伸の事業費は試算で約660億円と巨額が見込まれる。物価高騰で、さらに膨らむ恐れもある。そもそも、事業化が確定したわけでもない。
中之島駅でひっそりとたたずむシールドマシンの刃。中之島駅から轟音(ごうおん)を響かせてマシンが発進する日は来るのだろうか。