京都府福知山市夜久野町直見の西垣自治会が生産する果実「ムベ」を使って、金平糖専門店「緑寿庵清水」(京都市左京区)が新たな金平糖づくりに取り組む。夜久野のムベと老舗を結んだ縁とはー。
ムベは自然な甘さが特徴で、古代より宮中に献上されたと伝わる。珍しい果実を住民同士で育てる楽しさを味わおうと、同自治会が2016年に21軒で栽培を始めた。
今年1月、同社からムベの発送依頼を受けた。住民総出で500個のムベから種を除き、ペースト状にした果肉約18kgを送った。
同社5代目社長清水泰博さん(61)と妻の珠代さん(49)が6月、夜久野町を訪れて住民らに感謝を伝えた。来年迎える創業180周年を記念した新商品開発のため、伝統的な果実を探していたことを報告した。
住民たちを驚かせたのは、同社がムベを選んだもう一つの理由だった。清水社長は「金平糖づくりに身をささげた母が5年前に亡くなった。その母の名前が郁子(いくこ)だった」と明かした。ムベの漢字表記と同じだった。
同社は、ムベ本来の甘みを生かした新商品を開発し、年内の製造開始、来年初めの発売を予定している。
同自治会はこれまで、ムベを果実ごと販売してきたが、商品化が実現すれば新たな活用につながる。ムベ事業部の衣川秀正部長(75)は「金平糖にはレシピがないと聞き、手探りで育ててきたムベに似ていると思った。じっくり商品にしてもらえたらうれしい」と話した。