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「お客さまのために…」と、トイレをずっと我慢→10時間以上も「水分」とらないまま 健康診断でまさか…「腎臓をひとつ失いました」

宮前 晶子 宮前 晶子

「腎臓をひとつ失いました。原因は水分不足、“お客様に迷惑をかけたくない”という気持ちでした。 キッチンカー営業中にトイレに行けば、お客様をお待たせしてしまう。だから出店日は朝から水分を控える。それをずっと続けていました」

おにぎり専門のキッチンカーおにぎり屋「かなたけ」を営む三平さん(@kanatake33)の訴えが、大きな反響を呼びました。

痛みや自覚症状はまったくなく、気づいた時はすでに手術での治療ができない状態だったと話す三平さんが、「自分の経験の発信が、誰かの“水を飲もう”“検査に行こう”につながれば」と取材に応じてくれました。

何も症状がないまま、気づいたときには進行

「右腎臓の機能がほぼ失われており、医師から手術で治せる段階は過ぎています、と説明を受けた時は、“まさか自分が”という気持ちでいっぱいでした」

介護業界で働いていた三平さんが、夫婦でキッチンカーでのおにぎり専門店をスタートさせたのは2024年。以前、受けた健康診断では、クレアチニン値も腎臓の働きを示すeGFR(推算糸球体ろ過量)も正常範囲内だったと言いますが、2026年の健康診断では一気に悪化し、数値が正常範囲外に。

精密検査の結果、右の腎臓は小さくなり、機能を完全に失っていることがわかり、「慢性腎臓病(CKD・ステージG3a)」と診断されました。

腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、痛みが出たときには、すでに取り返しがつかない状態になっていることも少なくありません。三平さんにも自覚症状は全くなく、晴天の霹靂でした。

しかし、この約2年間の生活には思い当たる行動も。

「キッチンカーをやるようになってから、出店日は朝から水分を控える生活を続けていたんです。10時間以上、水分を極力摂らないことも。夫婦2人で営業しているため、“片方が抜けると回らない”“トイレに行けばお客様を待たせてしまう”、そう思い込んでいました」

水分摂取以外にも運動、睡眠、栄養、有害なものを避けるなど腎臓を守るために必要なことはありますが、「僕の場合は、水分補給を怠っていたことが多分にあると思います」。

右の腎臓を失った今、「数分だけ【準備中】の札を出す、少量ずつでもこまめに飲む、休憩時間をあらかじめ決めておく、妻と交代でトイレに行く、などできる工夫はいくらでもありました。空いてる時間もありました。今離れたら……と勝手に思い込んで我慢を選んでいたのは、完全に判断ミスです」と悔やみます。

医師からの「水分は我慢しないこと」「一日2リットル以上を目安に、こまめに水分補給を」の指導を受け、クレアチニン、eGFRの数値は改善してきました。水分補給も仕事の一部だと考え、一日を通してしっかり水分を摂る生活を続けています。

一人ひとりの体格・体調によって必要な水分の摂取量も異なります。水分を過剰に摂り過ぎると害になることもあるので、病歴がある方は医師ともご相談を。また、一気に水分を補給するのではなく、少しずつこまめにが大事です。

自分を後回しにしがちな「お客様のため」

SNSで、自身の健康状態を公表することには迷いがありました。しかし、接客業、運転手、看護・介護、保育などに従事する人の中には、「自分のことを後回しにする人が多いのではないか、この失敗が、誰か一人でも同じ後悔をしないきっかけになれば」と考えて発信を決意。

投稿したところ、「私も水分を我慢していた」という声や「今日から水を飲みます」「健康診断を予約しました」などのコメントが多数届きました。実際に三平さんのキッチンカー「おにぎり屋かなたけ」でおにぎりを購入している人からも反応があったそうです。

そのなかでも忘れられなかったのが「30年前、コンビニを経営していた親戚が、同じ理由で亡くなりました」というもの。

「お客様に迷惑をかけたくないという善意が、働く人の健康を削ってしまう。職人魂って、方向を間違えると自分に刃が向くのです。これは自分だけの話ではなく、実際に日本中で起きている問題なのだと痛感しました」と三平さん。

病気発覚後に妻から言われた「おにぎりより、あなたの体のほうが大事」も堪えたそう。

「お客様のため、と続けてきた行動が近くで支える家族を不安にさせていたことに気づいた瞬間、言葉が出ませんでした。お客様を思う気持ちは大切ですが、自分が倒れてしまえば、結果的にもっと多くの人へ迷惑をかけてしまうのです」

おにぎり屋も続けながら、今後も定期的な検査を受け、自分のからだを守ることを心に決めています。三平さんが多くの人に広まってほしいと願っているのが「あとで飲もう」ではなく「今、飲もう」。我慢は禁物だと考えています。

大塚製薬の調査(※1)によると、「ほぼ常に人前で働く仕事に従事する人」約6割が、「水分補給を我慢した経験があり」。その理由を「周囲の目が気になる(客、同僚、仕事場での上長)」「忙しく飲むタイミングがない」「接客中だから」「持ち場を離れられない」と答えており“飲みにくい空気”を感じる人も。

過去にSNSで「仕事中に水分を取っただけでクレーム」について話題になったこともありましたが、客側として「水分補給は気にならない」が約7割、「健康管理のために積極的に行うべき」が約8割と、水分補給に対しては積極的です。

水分を十分に補給できなかった結果、「のどの渇きを感じる」のはもちろん、「疲れやすくなる」「頭がぼーっとする」「集中力が低下する」など、その症状はさまざまです。

「たった一杯の水が、数年後の自分を守ってくれるかもしれません」と、三平さんは訴えます。

内容:「水分補給に関する調査」
対象者:全国の20~69歳男女600名
(お客様200名/人前で働く仕事の上司・管理者200名/人前で働く仕事の従業員200名)
期間:2026年6月22日~6月25日
調査方法:インターネット調査

■おにぎり屋「かなたけ」 https://x.com/kanatake33/

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