働き手のやる気を利用し、見合った対価を与えないことを「やりがい搾取」といいます。昼の世界ではすっかりこの言葉が浸透し、やりがい搾取=ブラックorグレー企業認定の合図といっても過言ではないでしょう。実はこの“搾取”はキャバクラやホストクラブなどの夜の世界にもあり、キラキラした景色と引き換えに給料や待遇が悪いという例もあるので見極めが大変です。
売り上げはほとんど店のもの!
全ての店がやりがい搾取をしているとは限りませんが、キャバクラやスナックでのキャスト経験があり、多くのキャストや黒服に取材している筆者の体感としては、4割くらいの店舗でキャストから搾取をおこなっているようでした。なぜならお店でのドリンクの値段は高額な割に「時給1400円。バック率10%」のようなキャストへの取り分が少ない店が未だ歓楽街にはびこっているからです。
飲み屋(キャバクラやスナックなど)はある程度の売り上げラインを越えなければ、売り上げをキャストと折半することができません。相当な数字を作れば給料は青天井ですが、そうでないと全体の20〜40%程度しかもらえず、給料から諸々の税金が引かれると想像以上に収入が低くなるのです。
風俗店に関してはバック率が70%以上でないと誰も働かないため、その点は飲み屋よりも良心的です。しかし、ネットグラビアやサイトに載せる宣材写真以外の撮影では報酬が発生しないことも頻発しているとか。過激な写真を撮られてもゼロ円なんて可能性があるのは、一種のやりがい搾取ですね。
やりがい搾取に遭う理由は「キラキラのまやかし」
これらの搾取被害が多発している理由は、歓楽街が織りなす輝きが原因でしょう。というのも、多くのキャストは必ず「注目されたい」「人とは違うことをしたい」と思っているため、店側がキラキラな職場を提供すれば承認欲求が満たされます。そんな嬉しさが災いし、「やりがい搾取では?」という疑いをスルーしてしまう状態に陥るのです。
先ほど例として挙げた「時給1400円。バック率10%」などはかなり悪い条件です。しかし内装や制服が可愛く、メディア出演(※ギャラはゼロ)を積極的におこなうような店だと、低賃金でもキラキラを体感したいコが集まります。アダルト系に関しても同じことがいえて、キャストをアイドルのように扱い、配信や自社のネットグラビアを提案すると輝きたいコが少なくとも数名は手を挙げます。
また、熱量が高いキャストは立場を任されると、やる気が出て離職率が下がるもの。悪質店はそれを分かって敢えて輝きを与え、表向きだけのキラキラを提供し、裏の顔はお金しか追っていないのが厳しい現実なのです。そのため、キャストは「私は店から推されているんだ!」と浮かれ過ぎることなく、定期的に給料と対価が見合っているかを振り返るべきかもしれません。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)
元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。