「1人目の客」と書かれたTシャツを着た男性が、マクドナルドの新店オープンで先頭に立ち、拍手で迎えられる――。その動画がThreadsに投稿され、4.9万件の“いいね”を集めました。この男性、実はこれまで200店以上で新店の「1人目の客」になってきたというのです。
投稿したのは、「新店オープン1人目の客になる」という趣味を持つ、わくいさん(@jamiiiiro0104)。実はこの動画を撮影したのは、わくいさんとは面識のなかった人物でした。開店後、わくいさんが店内でチキンタツタセットを食べていると、動画を撮影した人たちが声をかけてきたそう。趣味について話すうちに意気投合し、後日動画が送られてきたといいます。
「今回のマクドナルドは、ものすごく面白がってくれるお店でした。扉が開いた瞬間、後ろに並ぶ人たちが私に拍手をしたりカメラを向けたりと、一体感がありました。クルーの皆さんには、すれ違うたび『ありがとうございます!』とお礼を言いました」
この趣味の原点は、コロナ前に訪れた京都の中華料理店「ハマムラ」のリニューアルオープンでした。わくいさんは当時、ラジオ局で働いていて、オープンの様子を自分の目で見に行くことに。開店20分ほど前に到着すると誰も並んでおらず、結果的にリニューアル後の「1人目の客」になりました。
「あの名店の再出発が僕で始まったのかという感慨と、まっさらな新店に最初に入る高揚感が忘れられなかった。以来、1人目の客になることを趣味にし続けています」
これまでに達成した店舗数は「おそらく200〜250くらい」。印象深い体験のひとつが、京都にオープンしたセブンイレブンです。周辺にコンビニが少なく、近所の人たちも開店を待ちわびていた場所でした。
「後から来た近所の人たちに『1人目の客になろうと思ってたのに…』と言われたんですが、恨み節ではなく、面白がってくれている感じがして。オープン後は、店員さんや近所の人たちと一緒に記念撮影もしました」
店舗だけにとどまりません。阪急西院駅のエレベーター稼働初日に「最初に乗る」こと、選挙のたびに投票所で「1人目に投票する」ことも楽しんできたといいます。
ただし、「無理はしないと決めている」と語る、わくいさん。前日に立地や入口を下見し、開店までの待ち時間にはnoteに体験談を書いて過ごすことが多いそうです。
「長くこの趣味を楽しみたいので、1時間以上は並ばないというルールにしています」
なぜこれほどまでに、この趣味に魅了されるのか。わくいさんは、オープン直後ならではの空気感を挙げます。
「オープンしたばかりのお店って、まだいろいろ"ふわっふわ"してるんです。完成させていこうとしているスタッフさんの姿がきれいで、僕が入店することで、このお店の歴史が始まるんだなという感慨もある」
さらに、この趣味で一番面白いと感じているのは、意外にも「制約」の力だといいます。
「『1人目の客になる』という縛りがあるおかげで、普段なら絶対行かないお店にも足を運べる。縛りがあれば普通は世界が狭まるはずなのに、この趣味では逆に世界が広がるんです」
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わくいさんお手製の「1人目の客」Tシャツや1人目の客になる趣味についてまとめた書籍『1人目の客』を販売しているショップ:暇書房