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「造幣局の技師に」「才能の無駄遣いすぎて好き」 小2で始めた架空国家の紙幣づくり 机いっぱいに並ぶ力作たち

そんでなライターズ そんでなライターズ

猫の肖像が描かれた一枚、江戸幕府が存続した世界線を想定した一枚――机いっぱいに並べられた無数の「架空紙幣」は、どれも本物と見紛うほどの作り込みです。これらをXに投稿したのは、趣味で架空紙幣を制作している個立印刷局さん(@Koritsu_Insatsu)。小学校2年生の頃から作り続けてきた作品群には、「造幣局の技師になれる」「才能の無駄遣い過ぎて好きかもwww」といった声が寄せられました。

個立印刷局さんが紙幣づくりに心を奪われたのは、小学校2年生の頃でした。親が買ってきた本で昔の紙幣のデザインを知り、その精緻さと美しさに強く惹かれたといいます。すぐに紙幣の模写を始め、同じ頃に作っていた架空国家の設定と結びつけながら、「国家には独自の通貨があるはず」と考え、オリジナルの紙幣も作るようになりました。次第に模写は面白みを感じなくなったことや権利面への意識もあり、小学生のうちにやめたそう。その後はオリジナル制作だけを続けてきました。

紙幣のデザインで特にこだわっているのは、背景に用いられる彩紋模様です。事前に作った素材を組み合わせたり、シンメトリーにしたりしながら新しい模様を作っているそう。その一方で、文字や肖像の邪魔をしないよう、背景としてのバランスも意識しているといいます。

制作時間は、簡素なものなら2時間ほど、通常は約50~60時間ほどかかるのだとか。かつてはSARASAやSIGNOなどのボールペンを使ってすべて手描きしていましたが、現在はスマートフォン用アプリ「ibis Paint X」で制作することがほとんど。それでも一部の唐草模様や肖像などは、今も手描きで仕上げています。子どもの頃は細かな模様を書き込むことに意識が向いていた一方、今は全体の雰囲気を重視するようになったそうです。

参考にする本物の紙幣は、制作する架空紙幣の設定によって変えているそうですが、最もよく参照するのは日本銀行券のD券・E券シリーズだとか。透かしの周囲に施された細かな彩紋模様や、四隅の額面表記の配置など、実際の紙幣が持つ「本物らしさ」の構造を研究し、自分の作品に落とし込んでいるそうです。そのうえで、肖像を猫にしたり、架空国家の紋章を入れたりと、オリジナルの設定を重ねることで「本物っぽいのに見たことがない」仕上がりになっています。

例えば2022年に制作した一枚は、江戸幕府が続いたまま近代化した“もしも”の世界線をイメージしたもの。和風の意匠を残しながら、細かな地紋や額面表記を組み合わせたデザインが特徴で、近代紙幣のような雰囲気と独自の設定が一枚の中に同居しています。

制作者として特に思い入れが強いのは、小学校3年生の頃に作った「壱万以上円券」。現存する最古の架空紙幣で、1万円札を思わせる構図の中に、使用者が自由に額面を決められるという発想を盛り込んだユニークな一枚です。肖像画は当時の自分が想像で描いたものだそうで、今も大切に保管しているといいます。

この頃はまだ通貨単位に「円」を使っていましたが、小学校6年生の頃、「家」という独自通貨に切り替えたのだとか。架空国家の設定が深まるにつれ、通貨の単位にまでオリジナリティを求めるようになったそうです。

「家で作ったので『家』という安直なネーミングですが、自分でもかなり気に入っており、現在も使用しております」

今回の投稿には多くの反響が寄せられましたが、小学生時代から続けてきた自分の創作を投稿したことで、ここまで広がりを見せるとは予想していなかったといいます。中でも印象に残ったのは、映画「ルパン三世 カリオストロの城」に登場する偽札工場に例えるコメントだそう。

「何年も自分一人のためだけに存在していた作品を、こんなに多くの人に見てもらえたのは素直にうれしい。紙幣って、よく見ると模様の一つひとつにこだわりが詰まっていて面白いんです。それが少しでも伝わっていたらうれしいですね」

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