京都市左京区岩倉にある平安教会は、同志社の創立者・新島襄ゆかりの教会だ。現在地に移転して約半世紀が経過し、大規模改修を図るためのクラウドファンディング(CF)を実施している。約150年の歴史を持ち、CFの賛同者には大学教授や医師ら7人が名を連ねる。その中に上方の落語家・桂米二さんの名前を見つけた。キリスト教の教会と落語は一見結びつかないが、なぜ米二さんは賛同者になったのか。
米二さんは京都市出身の落語家。1976年に桂米朝さんに弟子入りした。「京の噺家(はなしか)」として現在も京都を拠点にしながら全国で活躍する。
そんな米二さんと平安教会に縁ができたのは、教会側の呼びかけで昨年3月に始まった落語会だ。「平安寄席」と銘打ち、初回は米二さんのほか、弟子の二乗さん、二豆さんが出演し、米二さんは化け猫が登場する「猫の忠信」などを語った。その後、平安寄席は昨年7月と12月にも回を重ねている。
落語会の会場として教会は適しているのだろうか。米二さんに聞くと「お寺でも落語をやりますが、教会もお寺も人が集まるところ。落語をやるのに全然差し支えはないわけです。会場の礼拝堂はうまいこと声がマイクなしで届きます。お客さんの反応もよく聞こえるし、ええ響きなんでしょうね」。落語と教会には意外な相性の良さがあるという。
実は上方落語が再興した要因の一つに、キリスト教会での寄席があることはあまり知られていない。半世紀以上前、関西には現在の天満天神繁昌(はんじょう)亭(大阪市北区)のような落語を主とする常設の寄席「定席(じょうせき)」は存在しなかったが、教会が苦境打開の一助になった。
「昭和47(1972)年に上方落語協会主催で、六代目(笑福亭)松鶴師匠が先頭に立って定席を開設された。それが島之内教会(大阪市中央区)やったんですね」と米二さん。「島之内寄席」と題された落語会は、後の繁昌亭や喜楽館(神戸市)などへと続く寄席復活の象徴となった。
現在、平安教会の礼拝堂は改修が進む。次回の平安寄席は6月20日に開催予定だ。米二さんが目指すのは、教会の地元・岩倉地域に根ざした落語会といい「近所の人でも平安教会で年3回、寄席をやってるというのを知らん人が多いんじゃないでしょうか。近所の人にもたくさん来ていただきたい」と呼びかける。
「呼びかけ人の方か、私かが生きている限り続ける」と言い切る米二さん。「若い子にも使ってもらいたい」とも語り、後進たちが話芸を磨く場になることも期待する。
CFへの支援は、3月9日まで京都新聞社が運営する「THE KYOTOクラウドファンディング」で受け付ける。返礼品には6月20日開催の平安寄席のサイン色紙付き招待券(寄付額4万円)、サイン色紙付きペア招待券(同7万円)もある。