2024年10月、お昼時の買い物帰りに響き渡ったのは、1匹の子猫による必死な叫びでした。声の主は、当時推定生後2カ月だったキジトラ猫の「こま」ちゃん。
その小さな姿は、室外機の裏、給湯器の下、そしてなんと車のボンネットの中へと、街を駆け巡ります。Xユーザーのむぎさん(@mugi411)と、近隣住民たちが一丸となって繰り広げた、3日間にわたる救出劇。
1匹の「こまったちゃん」が、最高の「甘えん坊」へと変貌を遂げるまでの心温まる物語をご紹介します。
近所の人たちと力を合わせて…3日がかりで保護
始まりは、買い物から戻った際の違和感でした。どこからともなく聞こえる子猫の声。飼い主さんが周囲を捜索すると、近所の室外機の裏にその姿がありましたが、驚いた子猫はすぐに逃げ去ってしまいます。
「母猫のところに帰れたらいいなと思っていると、しばらくしてまた鳴き声が。夜になってもずっと鳴いているので迷子なんだと思い、再び姿を探していると別の家の給湯器の下から声が聞こえました。お家の方に許可をいただいてスープを置いてみると姿を現したのですが、食べ終えるとすぐに逃げてしまいました」
翌朝になっても鳴き声は止まず、ついには飼い主さんの車のボンネットの中から声が響く事態に。近隣住民も次々と加わり、捜索は大がかりなものへと発展していきました。
「近所の方がボンネットを開けてくださるも逃げてしまい、お庭に入らせてもらい捜索。すばしっこくて捕まえられずさらに翌日へ。前日に声をかけた近所の方たちが朝から集まってくれ、みんなで保護を試みることに。最終的に、近所の方が走り抜けようとした子猫を網で捕まえてくれたんです」
こうして、無事に保護された小さな命。大きな鳴き声で近隣の人を困らせた「こまったちゃん」だったことから、「こま」と名付けられ、飼い主さん家族の一員として迎えられたのです。
先住猫との壁を溶かした“最高の弟”
無事に保護されたものの、外の世界で怖い思いをしてきたこまちゃんの体は、衝撃を受けるほど強張っていました。
「家に連れて帰って来たときのこまは『こんなに猫って震えるんだ』と思うくらいに、ぶるぶると震えていました。『大丈夫だよ』と抱っこして、ゆっくりと撫でていると、だんだんとのどを鳴らすように。それから膝の上にのってふみふみしながら甘えてくれるようになりました」
すでに3匹の先住猫がいた飼い主さんの家。新入りであるこまちゃんの合流は、慎重に進められました。穏やかに受け入れた「むぎ」ちゃん、威嚇を見せた「ふく」ちゃんと「るな」ちゃん。しかし、根気強い見守りが変化をもたらします。
「ふくは次第に受け入れてくれましたが、時間がかかったのは、るなです。ある日、突然かわいがり出したのです。そこからは毎日べったり、一緒に行動するようになりました。ずっとぴったりとくっつき、お互いに毛づくろいし合う関係になったのです」
活発なるなちゃんにとって、こまちゃんは最高の遊び相手に。毎日、弟と楽しく過ごすようになりました。
改名を考えるほどの“超甘えん坊”にーー
保護から月日が流れ、1歳を迎えたこまちゃん。当時の不安な面影はもうどこにもありません。家を訪れるお客さんの腕の中でもリラックスするほどの、天真爛漫な性格に育ちました。
「とにかく甘えん坊で、のどをゴロゴロ鳴らします。触れなくても、目が合うだけでのどを鳴らすので、名前を“ごろちゃん”に改名したほうがいいのでは?と思うほどです。出会った当時は、まだ小さかったのに、3日ものあいだ、大きな声で鳴き、逃げ回っていたのが今は懐かしい思い出です」
恐怖から解放され、安心しきったその表情は、飼い主さんだけでなく先住猫たちにも幸せな変化をもたらしています。
「こまを迎え入れたことで、るなが毎日楽しそうにしているのも微笑ましいです。あのとき、こまを保護して本当に良かった。こまには、『もう怖くないよ。おうちで大好きなるな、そしてお兄ちゃん猫や私たちにたくさん甘えてね』と伝えたいですね」