インフルエンザが流行する時期になると、「出社できない間の勤怠はどう扱われるのか」をめぐる疑問が、SNSなどでも話題になります。そんな中、Bさん(25歳)は1月のある日、インフルエンザA型に感染しました。
医師からは「5日間は自宅療養し、出社を控えるように」と指示されました。体調が優れない中で会社に連絡したところ、会社からも「感染拡大を防ぐため、出社は控えてほしい」と伝えられ、Bさんは5日間、出社を見合わせることになりました。
本人としては、医師の指示に加え、会社からも出社を控えるよう求められたため、事実上「出勤停止のような扱いだ」と感じていました。しかし、回復後にインフルエンザ期間中の勤怠について上司に確認すると、「有給休暇を使ってほしい」と案内され、「出勤しないでと言われたのに、なぜ有給扱いになるのか」と疑問を抱いたといいます。
インフルエンザなどで出社を控えるよう求められた場合、有給休暇を使うのが一般的なのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの橋本ひとみさんに話を聞きました。
有給休暇を使うかどうかは、会社が強制できない
――そもそも、インフルエンザで医師から出社を控えるよう指示された場合、有給休暇を使う形になるのが一般的なのでしょうか。
インフルエンザの感染は、原則として業務とは直接関係のない私傷病として扱われます。医療機関従事者など、業務内容によっては労災として判断されるケースもありますが、多くの場合は欠勤扱いとされます。
その欠勤に対して賃金を保障する方法として、Bさんのように有給休暇を充てる対応がとられることも多々あります。
ー会社から「出社しないでほしい」と言われた場合でも、休業扱いにはならないのですか
Bさんのようにすでに医師から出勤停止を指示され、就労できない状態にある場合は会社から出社を控えるよう求められたとしても、会社都合による休業には該当しません。
会社都合の休業とは、本来は出勤できる状態にある労働者に対して、会社の判断で休ませる場合を指します。そのため私傷病によって欠勤しているケースでは、休業扱いにはならないのです。
ー有給休暇を絶対に使わないといけないのでしょうか。
有給休暇を使うかどうかは会社が一方的に決められるものではなく、原則として本人の同意が必要です。そのため「欠勤扱いにするか」「有給休暇を充てるか」は、本人の意思を踏まえて決められます。
有給休暇を使わず欠勤として賃金が支払われなかった場合には、健康保険の傷病手当金の対象となる可能性があります。傷病手当金は、連続する3日間の待期期間を経た後、4日目以降について支給されるため、5日間休んだ場合には2日分が支給対象です。
会社によっては病気休暇や特別休暇など、インフルエンザなどの感染症に対応した独自の休暇制度を設けている場合もあります。一度、就業規則を確認しておくと良いでしょう。
◆橋本ひとみ(はしもと・ひとみ) 銀行勤務12年を経て、現在は複数企業の経理代行をおこなう 。法人営業や富裕層向け資産運用コンサルティングの経験に加え、ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士の資格を持つ。