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「一旦庭掃除やめました」緋色の落ち葉に覆われた京の寺の境内、静寂の美「これぞ錦繍の秋」「いつまでも変わらないで」

山本 明 山本 明

一旦庭掃除やめました

こんなひと言とともに「X」に投稿された、京都の古寺の庭が緋色の落ち葉で埋めつくされた光景がたくさんの人を魅了しました。見つめているとその深い赤色にこちらの心まで染められていくようです。投稿には記事執筆時点で「9.1万件」もの「いいね」がついています。

「これぞ錦繍の秋」
「縁台に座って三時間くらいお茶飲みたい」
「紅葉の絨毯、素敵!」
「この景色がいつまでもこのまま変わらないでほしい。そして、いつか私もこの美しさを心から楽しむことができればいいな。そして、このコメントを読む人みんなも同じように感じられますように。」

その美しさを称え、ずっとこのままでと願う声が届いています。

 こちらは「高台寺塔頭(たっちゅう)岡林(こうりん)院(京都市東山区)」の境内を写した一枚で、投稿したのは同寺のご住職である青山公胤さん(以下、青山さん)です。岡林院は現在残っている同寺の塔頭の中では最古のものであり、苔庭の名所として知られています。

 青山さんは話題になった投稿に続けて、大量の落ち葉を掃き清めていくとその下から青々とした苔庭が現れてくる様子なども撮影して投稿しています。

 晩秋の境内の落ち葉掃除をした時のことを青山さんにお聞きしました。

「自然のありのまま、あるがままの美しさ」

――「一旦庭掃除やめました」とのことですが、その時のお気持ちを教えてください。

この日はいつものように朝の掃除をし、この投稿の直前にも庭の掃き掃除をしておりました。一生懸命に掃いてた時に、ふと振り向いて見ると、先程掃いたはずの場所が元に戻っておりました。毎年の事とは言え、「よし。今日はやめよう。」となり、縁側に座ってボーッと庭を眺めていた時に、「綺麗やな」と思って撮った写真を、何も考えずに投稿したのが正直なところです。

――毎年の景色であってもなお、清新な美しさがあるのでしょうか。

毎年、この時期になると同じような事の繰り返しに思えるかもしれませんが、改めて手を止め、足を止めて見る事で、今まで気付けなかった物にも気が付けるようになる気がいたします。自然のありのまま、あるがままの美しさに改めて気が付けた時間でもありました。有難いことです。

初雪が舞う日も庭掃除を

――庭掃除中に雪がちらつく時もあるのですね…。

雪はまた別の日の朝に掃除をしている時に降り始めました。この日は京都市内でも初雪の日でした。毎日1時間程、庭掃除には時間がかかります。秋のこの時期は2時間近くかかる日もあり、朝掃除をしても昼過ぎには元に戻っている日もあります。掃除中はただひたすらに掃くことに専念しますが、風が吹いて落ち葉がハラハラと舞う景色も、愉しむような余裕はない日が多いかもしれません。

落ち葉のハートマークを作る日も

――落ち葉で作ったハートマークも拝見しました。

ハートマークを作った日は、掃いていたらハートに近い形になったので、お寺にお茶の先生が来ていたこともあり、楽しんで頂けるかなと思って成形しました。投稿や写真を見た方が喜んで下さったのであれば嬉しいです。

現在、境内は非公開

現在非公開だという岡林院ですがアカウントのタイムラインを通して日々、境内の風景を見ることができます。

「岡林院は基本的には非公開です。檀家様や信者様、ご縁のある方々にとっても大切なお寺です。坐禅を組みに来られる方もいらっしゃいます。一年を通して、高台寺の福めぐりやピンクリボンさんのイベント等、限られた日に、ご参加された方々に見て頂く機会がございます」と話す青山さん。

心癒やされる光景を

 さらにこれから迎える年の瀬はどんな光景を見せてくれるのかも青山さんにたずねると、「年末年始も、庭の景色をはじめお寺の行事を変わらず発信していくつもりです。静寂な、美しい庭の雰囲気が伝われば良いなと思いますが、投稿をご覧になられた人の気持ちが、癒されたり穏やかな気持ちになって頂けたら嬉しいです。時折、仏教の教えだったり大切な事は伝えられたら良いなとは思っています」と話しています。

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