株式会社マイナビ(東京都千代田区)は、このほど「2025年冬ボーナスと転職」に関する調査を実施しました。同調査によると、転職を検討している正社員の3人に1人が、想定よりも賞与額が高かったことで「転職を思いとどまった経験がある」と回答しました。では、転職を思いとどまった賞与支給額はいくらだったのでしょうか。
調査は、従業員数3人以上の企業に所属しており、前月転職活動を行った人、および今後3カ月で転職活動を行う予定の20代~50代の正社員1325人を対象として、2025年11月にインターネットで実施されました。
調査の結果、転職を検討している正社員の51.4%が「今年の冬の賞与支給後に転職する予定」と回答。年代別では20代が62.0%で最も多くなった一方で、全体の43.6%が「賞与額が高かった場合に転職するのをやめる可能性がある」と回答しており、こちらも20代が53.5%で最多となりました。
また、「想定よりも賞与額が高かったことで転職を思いとどまった経験」については、全体の33.6%が「ある」と回答。転職を思いとどまった際の賞与額平均は「80.5万円」で、賞与の金額が転職の意思決定に一定の影響を及ぼしている可能性があることがうかがえます。
他方、転職経験があり、現在転職を検討している人のうち、約7割が「過去に賞与が少ないことが理由で転職したことがある」(1番大きな転職理由だった30.3%、1番ではないが転職理由だった39.8%)と回答。
これを年代別で見ると、「賞与が少ないことが1番大きな転職理由だった」と答えた割合は20代が56.2%で最も高くなり、賞与額の少なさが特に転職の動機となっていることが示唆されました。なお、転職理由となった賞与の平均額は「29.8万円」でした。
次に、「前年の冬の賞与額」を聞いたところ、平均は「54.3万円」で、「今年予想している冬の賞与額」の平均は「51.0万円」で前年実績よりやや低い予想となりました。
また、「自分の仕事に見合うと思う理想の賞与額」については、平均「81.5万円」で、今年予想している金額とのギャップは「30.5万円」、前年実績とのギャップは「27.2万円」でした。
これを年代別にみると、50代は今年予想している賞与額・理想の賞与額ともに金額が高い傾向がみられ、予想と理想の賞与額の差額が最も大きかったのも50代で「39.1万円」のギャップがみられました。
最後に、「給与や賞与の増額がなくても”転職を思いとどまるかもしれない”と思う福利厚生制度はありますか」と尋ねたところ、79.6%が「ある」と回答。
具体的には、「有給休暇の取得促進」(33.5%)」、「通勤・住環境の支援」(30.5%)などに回答が集まりました。
また、こうした制度が、転職を思いとどまる理由になる背景について自由回答で聞いたところ、以下の4分類に分けられました。
【1.収入の補填につながる】
収入が不足分を「副業」で補える、あるいは支出を抑えられる福利厚生があれば、転職を控えたいという声が多く寄せられました。
【2.私生活を重視できる】
通院や家庭の事情に合わせて休みが取りやすいなど、プライベートを優先できる環境に価値を感じるといった意見が目立ちました。
【3.キャリア・スキルアップにつながる】
転職しなくても成長機会が得られるなら、あえて動く必要はないと考える回答が一定数見られました。
【4.人間関係・心理的安全性が確保されている】
働きやすい雰囲気やパワハラ防止など、心理的安全性を重視する声も聞かれました。
以上、どのカテゴリの理由を挙げた人も、複数回答のひとつに「有給休暇の取得促進(取得率の向上、取得しやすい雰囲気づくりなど)」を選んでいることから、休暇の取りやすさへの需要の高さがうかがえました。
調査を実施した同社は、「物価高に対応する適切な賃金を設定することが急務であることは大前提ですが、福利厚生を充実させることは離職の防止につながる可能性があるといえるでしょう」と述べています。