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腫瘍切除→4年半後に再発認め根治困難に…希少がん患う45歳ママ、治療断念でも「泣いてるだけじゃダメ」と思う理由

山脇 未菜美 山脇 未菜美

「腫瘍を切除して安心していたんですが…4年半後に再発(転移)が見つかって、根治困難と診断されたんです」。小学6年生の息子がいる一児のママ(45)は、自身の病状について語る。現在は積極的治療が難しく、痛みを和らげる「緩和ケア」に移行している。小さな息子と夫との残りの生活を大切に過ごしながら、今思うことは―。

何で私なんだろう…

最初に体に異変があったのは39歳で、2019年5月。人間ドックのエコーで左脇あたりに「何かある」と言われ、専門施設への紹介を受けた。見つかったのは、7センチほどの膵臓の腫瘍。診断名は「充実性偽乳頭状腫瘍(solid pseudopapillary neoplasm、SPN)」。聞いたこともない病気だった。

日本消化器病学会が2024年に発行した「日本消化器病学会雑誌 第121巻 第 2 号」によると、SPNは膵腫瘍全体の1~3%を占める比較的まれな腫瘍で、一般的には女性の膵体尾部に好発するとされる。治療については、腫瘍が完全切除されれば 95%以上で根治が期待できるため手術による切除が推奨されているが、再発を認めた報告もあるため、術後も慎重な経過観察が重要だ、とされている。

女性は、開腹手術を行った。「半年に1回、検査に行って4年ほど何の影もなかったんですが…」と女性。その後、再発が認められた。「本当にショックでした。何で私なんだろうって。不安で何も手につかなくて。息子もまだまだ母親が必要な年齢ですし」と話す。

抗がん剤と、腫瘍に針を刺して通電することでがん細胞を死滅させる「ラジオ波焼灼療法」も行なった。

小学6年生の息子に伝えたこと

吐き気と熱に襲われる日々。歩くとよろけて、息が切れた。それでも治療の効果は得られず、一昨年、そして昨年、病状の進行が確認された。

一番つらかったのは、夫と息子に状況を伝えた時だ。息子は涙を流しながら「ママ…あとどれくらい生きられるの?大丈夫だよね?」と聞いてきた。「うまく答えられなくて、たまらず、私も泣けてきましたね。家族3人でただただ、泣くことしかできなかったです」

「いつまで生きられるんだろう」と考えてしまい、夜は眠れず、布団でこっそりと泣いてばかりいた女性。しかし、次第に「泣いてばかりじゃダメだ。残された時間がもったいない」と思うようになった。息子にも「ママも病気と闘うのを頑張るから、あっくん(息子の愛称)も勉強頑張ろうね。楽しいことがたくさんあるよ」と少し明るく振舞えるようになった。

最近は医療用麻薬を使って痛みをコントロールしている。何気ない家族3人の団らんが癒しだという。

まいどなニュースへの取材依頼は、女性側から持ち掛けてくれた。理由を尋ねると、強い思いを語ってくれた。「私の事例は珍しく、何とかSPNという病気を多くの人に知ってもらって、研究が進んでほしいんです。どうか、同じ病気になった人、これからなってしまう人の役に立てればと思います」

【充実性偽乳頭状腫瘍 (solid pseudopapillary neoplasm、SPN)】膵腫瘍全体の 1~3%を占める比較的まれな腫瘍。一般的には女性の膵体尾部に好発するが、膵頭部の発生も30%で認められ、男性の発症例なども報告されている。充実成分の中に囊胞成分や石灰化を呈するのが特徴。病理学的には、腫瘍細胞が血管を軸に偽乳頭状に増殖することが特徴で、本腫瘍の名称の由来となっている。(日本消化器病学会雑誌より引用)

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