忙しい日々を過ごしていると、自分の体調よりも仕事や周囲のことを優先してしまいがちです。「少しくらいなら大丈夫」と無理を続けていると、知らず知らずのうちに心身が疲れてしまうこともあります。Instagramで漫画を投稿しているゆうさんも、仕事の忙しさから体調を崩し、検査を受けた際に経験した不思議な出来事を、作品『胃カメラを飲んで不思議な空間に行った話』で投稿し話題になっています。
作者が小さな診療所に勤めていた頃、仕事の忙しさからか「胃が絞られるような痛み」に襲われ、検査を受ける決意をします。しかし検査に不安を感じた作者は鎮静剤を使うことにし、当日検査室のベッドで横になってドキドキしながら待機していました。
しばらくすると、作者はカーテンの向こうがやけに明るいことに気づきます。何かが揺れているように見え、不思議に思いながらもぼんやり眺めていると、「苦しい?」「つらい?」と女の人の声が聞こえてくるのでした。不思議とその声には安心感があり、作者は思わず「はい、そうです」と本音を漏らします。すると、その声は「おわりにしましょうね」と優しく告げ、ふっと消えてしまったのです。
次の瞬間看護師さんがカーテン越しに見え、作者は慌てて話しかけます。すると看護師さんは「鎮痛剤もう打ちましたよ。胃カメラも終わりました。先生にも挨拶されてましたよ」と告げたのです。しかし作者には、鎮静剤を打たれた記憶も検査中の記憶もまるでありません。“ずっとベッドで横になっていた感覚”が残っており、いまだに夢だったのか現実だったのか分からないのでした。
その後、作者は職場を退職すると、あれほど続いていた胃痛や体調不良は嘘のように消えたのです。最後には「いろいろあったけど仕事を辞めました。もうつらくありません」と、あの“カーテンの向こうの誰か”に向けて感謝の言葉が綴られていました。
同作で描かれた不思議な体験について、作者のゆうさんに詳しく話を聞きました。
「ずーっとそこにいたはずなのに」いつの間にか終わっていた胃カメラ
ー鎮静剤を打つ前の記憶もないのでしょうか?
本当にまるっきり鎮静剤を投与する瞬間と胃カメラ中の記憶が無くなってるんです(笑)待合室のようなところで書類を記入して、「じゃあここで休んでいてくださいね」と案内された別室のベッドに横になっていて、自分的にはずーっとそこで寝転がっていたと思っていたんです。
「看護師さん遅いなあ、鎮静剤打つのって時間かかるんだなあ」なんて考えながら。ようやく姿が見えた看護師さんに「あとどれくらいかかりますか?」と尋ねたら、実はもう何もかもが終わってると聞いて、とても驚きました。
ー胃痛や体調不良を感じていた当時、どんな日々を過ごされていましたか?
とにかく、忙しかったです。小さな田舎の診療所に勤めていたのですが、休日出勤したり、お昼ご飯を食べる時間も取れないくらい、とにかく忙殺される日々を過ごしていました。
ー退職の理由は、胃カメラでの出来事も含まれますか?
退職の大きな原因は、忙しすぎて体調を崩すようになったからです。混乱と忙殺を極めたコロナ禍を耐え抜いて、世の中が少し落ち着いてきた頃に辞めさせてもらいました。「この仕事を辞めないと心も体調も治らない」と、この不思議な体験とお医者様の言葉がきっかけで気付いたので、要因の一つと言ってもいいかもしれません。
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