「日本最後の城」とされる園部城(京都府南丹市園部町)のVR(仮想現実)動画を市が作成した。城跡を訪れて風景にスマートフォンをかざせば、櫓(やぐら)などを3次元で再現した映像が見られる。威容を画面上によみがえらせ、観光に訪れる城郭ファンの増加を図る。
園部高の校門として現存する櫓門周辺の映像を9月、第1弾として公開した。現地でスマホやタブレットのアプリを起動すると、往時にその地点から見えた景色が表示される。
映像はスマホを向けた方角に連動して変わり、櫓門の脇に太鼓櫓や武道場が並ぶ光景をぐるりと見渡せる。
市観光協会主催でVRを体験するツアーが同月6日にあった。市内外の4人が映像に「リアルだ」と驚きの声を上げ、現在の風景と見比べて楽しんだ。
来年3月には小麦山にあった3層の天守、現市役所中央庁舎そばの幅20メートル近い大手門など4カ所のVRも公開する。絵図や発掘調査成果、城郭に詳しい三浦正幸広島大名誉教授の監修に基づき、本格的な城が築かれた1869(明治2)年の姿を再現するという。
事業費は約1700万円。市商工観光課は「城好きの来訪が増え地域経済に波及効果がある」と期待する。来年秋の「全国都市緑化フェアin京都丹波」で、城跡の一部に当たる園部公園が会場の一つとなるため「大勢の来場者にVRも楽しんでほしい」という。
無料アプリ「ストリートミュージアム」をダウンロードすれば、自由に体験できる。