「12時にご来店予約のお客様!!
お時間が過ぎてますよ!ずっとお待ちしてます!!!!!!」
北海道空知郡上富良野町にある第一食堂が、自身のX(旧Twitter)アカウント「かみふらの第一食堂」(@dai1shokudou)にて、予約時間に来店しない客に対して呼びかけを行いました。
予約客の無断キャンセルや無断遅刻、ドタキャンは、飲食店にとって大きな問題です。実際に、投稿は多くの方々の注目を集め、12万のいいねが付く話題に。
「ご来店されましたでしょうか?」
「何のための予約なんだろう」
「フードロスになってないことを願ってます」
「来ればいいってわけじゃない
作りたてでしか味わえない温かさが失くなるでしょ
許せない!!」
リプ欄には、このような心配や怒りのコメントが相次いでいます。
約束の時間に来なかった海外のツアー団体客
当日の状況について、店主の西永理佳さんに詳しいお話をうかがいました。
11月10日。
西永さんは、その1週間ほど前に、中国の旅行会社の担当者と思しき方から、この日の12時に8名の団体客の予約を受けていました。その際、「生姜焼き」、「卵焼き」、「サラダ」といったメニューも指定してきたといいます。
同店では、このような形で海外のツアー客が来店されることが度々あるといいます。複数回利用され、つながりの深い旅行会社もありました。しかし今回連絡をしてきたのは、はじめての業者だったといいます。
予約当日、西永さんは席を確保し、料理を準備。一般のお客は別店舗に案内したり――といった調整もしつつ、団体客の来店を待っていました。
ところが、約束の時刻になっても客は現れません。先方からの連絡もなく、文字通りの待ちぼうけ状態に。
しかも、先述の通り、「はじめての会社からの予約だった」ため、自分から確認の連絡をすることもできません。
西永さんが、Xを通じて「ずっとお待ちしてます!」と呼びかけたのは、予約時刻を20分ほど過ぎてのことでした。なお、投稿写真は事前に撮られたものであり、この時点ではすでにラップをしたり、下げたりといった対応をしていたとのことです。
大幅に遅れての到着…
同日、午後3時過ぎ。西永さんは再びXに投稿。
「やっと来た。3時間遅れで…。ご心配おかけしました」
結局、団体客はやって来られたそうです。
しかし、こんな時間にやって来るなど、西永さんも考えていません。テーブルはすでに片づけ、料理の一部は常連客の方々に「(予約の方々は)もう来ないから」といって渡したりもしていました。配置していた従業員も退勤していたといいます。
そんななかでの来店。料理を温め直したり、作り直したりといった対応に、店内に残る西永さんの家族たちだけで追われる羽目になってしまいました。
しかしながら、なぜここまで遅れることになってしまったのでしょう?
その場に居たツアーのガイドの方に訊ねたところ、「観光地での写真撮影が長引いてしまった」とのこと。
「それだけで3時間も遅れるだろうか…」
と西永さんは思ったものの、言葉を飲み込んだといいます――。
店側も予約に合わせて動いている。遅れる場合はせめて連絡を…
予約の方が来られなかったり、無断で大幅に遅れたり、という事態になると、飲食店ではまず食品ロスの問題が起こります。また、ツアー客の場合、旅行行程の関係上、食事をしたらすぐに移動しなければならないことも少なくありません。店側はそんな客たちの都合に合わせて、時間を調整する配慮も行っています。さらには、テーブルを確保したり、相応数の従業員を配置したりする必要もあります。他の客の入店をお断りしたりすることもあるかもしれません。
予約客が身勝手な行動をすれば、それらがすべて無駄になってしまうということにもなりかねません。
「遅れる場合は、せめて連絡を。電話等が難しければ、DMでもいいからして欲しい」と西永さんは言います。
また、店側としても今後、予約の方の連絡先を確認する、「遅れる場合はご一報ください」という伝達を事前にしておく、といった対応を徹底していきたいとも語ります。
なお、今回のツアーのガイドの方は、来店した際に「(遅れると)連絡がきてなかったですか?」とも言っていたそう。
本人は伝えたつもりになっていたものの、会社の内部とうまく連携が取れておらず、店に連絡がいかなかったのか――詳しいところは西永さんも分からないといいます。いずれにせよ、西永さんたちが連絡を受け取ることもなく、長時間待たされてしまったことに違いはありません。
もっとも、このようなケースは、今回のみに限った話ではなく、また海外のツアー客ばかりに当てはまるものでもないといいます。
今年の元日早々に、国内の方より10名での予約があったそうですが、結局来なかったとのこと。
「その方々の来店を今でも待っています。来年になるのかな?」(西永さん)
◇ ◇
今回の投稿がバズッたことについて、「こんなことになるとは思っていなかった」と語る西永さん。通常の店内状況の報告だったつもりが、予想外のことに驚いてしまったようです。現代において、飲食店の予約にまつわる問題は、それだけ多くの方々の注目を集めるトピックなのですね。
そんな西永さんが店主を務める「第一食堂」は、上富良野で60年間愛され続けるの老舗の大衆食堂。地元の方々のみならず、国内外の観光客の方々にも人気があります。
「地域にある普通の小さな食堂ですが、上富良野に来たらお腹を満たしに寄ってください」(西永さん)
なお、まいどなニュースでは以前にも、今回の投稿と似たようなケースについて、「ふぐコースを当日予約でドタキャン→音信不通に 飲食店の悲痛な訴えに『どうすればいい?』」という記事にて取り上げました。
■かみふらの第一食堂のX(旧Twitter)はこちら
→https://x.com/dai1shokudou
■第一食堂のホームページはこちら
→https://sites.google.com/view/dai1shokudou