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鍾乳洞のなれ果て…まさに「異世界」高さ40mの巨大石灰岩アーチ 国天然記念物「羅生門」今春規制解除で観光客続々

山陽新聞社 山陽新聞社

 秋の行楽シーズンを迎え、岡山県新見市草間の国天然記念物・羅生門がにぎわっている。落石などの影響で、長年制限されていた石灰岩アーチ下への立ち入り規制が2025年春に解除。地域住民団体によるPR活動もあって、自然が生んだ芸術を体感できる絶景スポットとして改めて注目を集めている。

 「空気がすがすがしいね」「冒険映画の一場面みたい」ー。美しい緑のコケが岩々を覆い、一面にうっすらとかかるもやが幻想的な雰囲気を盛り上げる。東京から家族で訪れた高林虹奈(にいな)さん(24)は「動画投稿アプリを見てきたが、映像よりずっと迫力がある。来てよかった」と歓声を上げた。

 羅生門は古い鍾乳洞が一部を残して崩落してできた巨大な石灰岩アーチ(高さ約40メートル)。約100メートルにわたって四つアーチが連なる。その奥は洞窟となっており、吹き出す低温多湿な空気によって周囲には高山性や北方系の貴重なコケ・地衣類が分布している。

 17年に落石・倒木が発生し、アーチ下への立ち入りが禁止となり、翌年の西日本豪雨では遊歩道の土砂が流出する被害も出た。その後、ドローンを使った調査などで安全が確認され、今年4月、市はヘルメット着用を条件に規制を全面的に解除。第一門を望む展望台近くにロッカーを整備し、無料で使えるヘルメット14個と使い捨てのヘアネットを備え付けた。

 市によると羅生門を訪れる観光客は年間1000人程度で推移していたが、25年度は9月末までの半年間で既に1751人が来場。規制解除とともに、地元の住民組織「羅生門をまもる会」(24人、05年発足)が付近の公園で企画したイベントや、春の桜や秋の紅葉などSNSで四季の魅力を発信し続けたことが功を奏したとみられる。

 西村和夫会長(66)は「土日は駐車場がほぼいっぱいになることもある。この前はユーチューバーの方が撮影に訪れました」と喜び、「市全体への経済波及効果なども生まれてくれれば」と期待を寄せている。

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