言い返したいのに、言葉が出てこない。理屈で詰められると、うまく反論できずに「モヤモヤだけが残る」——そんな経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか。特に、議論が得意な相手を前にすると、つい感情をのみ込んでしまいがち。千葉県在住のW子さん(38歳・パート勤務)夫婦も、そんな「胸の奥に残った気持ち」が思いがけない形で現れた瞬間を体験しました。
隣で寝ている夫の「寝言」にビックリ
「なんなんだよ」「チクショー」
隣で寝ているはずの夫が、苦々しい表情で文句を言っていたというのです。
「実はその日の夜は夫婦喧嘩をしたんです。些細なことで口論になって、結局、私が理詰めで追い詰める形になってしまいました。夫は不満そうにしながらも、『わかった、ごめん』と謝ってきたんです」とW子さんは振り返ります。
普段から感情よりも理屈で話すタイプの彼女に対し、口下手な夫はどうしても分が悪いといいます。
「私も別に勝ちたいわけじゃないんです。でも、言われっぱなしはイヤで。だからつい理屈で返してしまうんですよ」
夫婦喧嘩の「勝ち負け」のあとに…
「夫はいつも『言い返したいのに言葉が出ない』タイプなんです。その日は相当悔しかったんでしょうね。寝言で文句を言っているのを聞いたときは、笑ってしまいました。でも同時に、ちょっとかわいそうにもなりました」
夢の中では「反論」していた夫。
「寝言って本音が出るって言いますけど、あれは本当にそうかもしれません」
W子さんは、苦笑いしながら語りました。
寝言にまつわる不思議なエピソード
取材を進めていくと、他にも「寝言」にまつわるさまざまなエピソードが寄せられました。中には笑えるものから、少し切ないものも…。
・小学生と中学生の息子たち。兄弟仲が良すぎるのか、交互に寝言を言っています。たまに会話が噛み合って成立しているのを聞いて思わず噴き出してしまいます。
・大好きな彼女が「もう食べられないよ〜」と。こんな漫画みたいなベタな寝言を言う人、本当にいるんだ!といっそう愛おしくなった。起きてから伝えても、信じてくれなかったけど(笑)
・ブラック企業に勤めていた頃の夫の寝言。苦悶の表情で「見積もりが…見積もりが…」と繰り返していました。その後、夫はすぐに転職していました。
・自分の寝言が気になり、専用のアプリで録音してみた。わりとはっきりと「裏側を見ちゃったな…」と呟いていた。夢の内容は覚えておらず、今も「何の裏側を見たのか」が気になって仕方がない…。
寝言は、無意識の中に眠る心の声。本人も知らない感情が表に出る瞬間でもあります。
夫婦に必要なのは「勝ち負け」より「思いやり」
結婚10年を迎えた今、W子さんが感じるのは「勝ち負けではないコミュニケーション」の大切さだといいます。
「文句があるなら起きてから言えよ、と思わないわけじゃないんですが、私も理屈ばかり並べずに、もう少し優しくすればよかったな、と思いました。このまま遺恨が残るのは嫌ですから」
夢の中でだけは己を解放していた夫を見て、少し反省した様子のW子さん。「寝言事件」は小さな気づきをもたらしたようです。
夫婦とは、こうして少しずつ歩み寄っていくものなのかもしれませんね。──しかし、寝言でまで訴えるなんて、もはや根性がある方と言ってもいいのかも…?
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