悩み事があって相手に相談した時、必ずしも自分の思っていた答えが返ってくるとは限りません。相手から共感が得られないことや、逆に嫌味を言われてしまうといった経験のある方も多いでしょう。そんな不快感を覚える瞬間に使いたい考え方ひとつでリセットできる方法を、B.B軍曹さんが漫画『嫌みを言われた時の夫の対処法』にてInstagramで紹介しています。
物語はB.B軍曹さんが病院勤務していた時のことです。患者さんからのクレーム対応について同僚に相談したところ、「私はそんなミスはしない」とマウントを取られてしまいます。相談したことを後悔しつつ、何か言い返せばよかったのかを帰宅後も考えて落ち込むB.B軍曹さんでした。
夫の髭さんならこのように対応するか聞いてみると、まず髭さんは「もし反論していたらどうなっていたか」をB.B軍曹さんに聞きます。髭さんの問いにB.B軍曹さんは、職場の空気が気まずくなる旨を答えました。
この回答を聞いた髭さんは、微笑みながら「その時冷静でいられた自分を誇っていい」「余裕がある方が大人」と、職場の空気を優先して反論しなかったB.B軍曹さんの気持ちを称えるのでした。言い返せなかった自分を責めるのでは無く、沈黙を貫けた自分を誇って良いという視点に驚かされる同作について、B.B軍曹さんに話を聞きました。
自分の感情に“名前を付けてもらった”感覚に…名言誕生秘話
ー「我慢した自分を誇る」という視点はどのように生まれたのでしょうか?
「言い返して勝つゲームには、そもそも参加しない」というのが髭のスタンスらしいです(笑)ムッとする瞬間があっても、わざわざ相手の土俵に降りていく必要はない。だからこそ、無駄な意地のぶつかり合いにも巻き込まれないんですよね。
髭はよく、「頭の中では何通りも言い返してるよ。でも実際に言わなかった自分って、ちょっと誇らしくない?」と笑います。喧嘩は同じレベルでしか成立しない。ならば沈黙は格の違いを示す方法なのかもしれません。
時には「言わない選択」こそが、いちばん強くいちばん美しい返し方。そんな髭の姿勢から、私も学ぶことがたくさんあるなと感じています。
ー最後の四角カッコの名言はどのように考えられているのでしょうか?
この部分は私が考えています。髭が言った言葉のようにも見えますが、実はそうではありません。
周りからは意外と言われるのですが、髭は本を読まず全てを経験でつかんでいくタイプです。一方私は、幼い頃からずっと本と絵に夢中で、「誰かの言葉」に救われながら育ってきました。
だから漫画の最後に添える「名言のような一言」は、漫画の中で描かれた出来事の記憶のかけらや、誰かとの会話の中で芽生えた実感、そして自分の中でまだ言葉になりきれない感情を1つにまとめ、誰かの救いになるような言葉として時間をかけて編み直したものなんです。だから実は、漫画の中で髭が言っているように見えるセリフも、ある意味では夫婦合作なんです(笑)。
私はこの一言を作り上げるためにかなりの時間を要しますが、ときどき小説家の友人と話していると、私が「なんて言えばいいかわからない」ともやもやをこぼすと、その方は「つまり、こういうこと?」と一行で言い当ててくれて感動することがあります。
「うまく言葉にできない気持ち」に、名前をつけてもらったような気がして、その瞬間、感情がすっと整う。ハッとさせられる言葉って、きっとそうやって生まれるんだと思います。
ー嬉しかったコメントなどはありましたか?
「この漫画を読んで、妻(もしくは夫)への言葉や態度が少し変わりました」や「夫婦喧嘩のあと、髭さんのセリフを思い出して、落ち着いて話せました」などですね。そんなふうに誰かの関係のかたちに、ほんの少しでも影響を与えられる瞬間があることが、何より嬉しくて、、、描く意味を再確認させてくれます!
漫画は娯楽だけど、その中のワンシーンが現実を動かす。誰かの感情のつかえを、そっと溶かすこともある。そんな風に、人の間にある見えない温度を変えていけるのが、漫画や小説、アートの力なんだと信じています。
読者の声に触れるたびに思うのは、「伝えた言葉以上に、届いた想いの方がずっと大きかった」ということです。だから今日も、「ページの向こうの誰かの心」を想って描いていきたいなと思います。
<B.B軍曹さん関連情報>
▽Instagram
https://www.instagram.com/b.bgunso/
▽書籍『全てのネガティブをプラスに変える夫 髭・NGと書いてナイスガイと読む 編』
https://www.amazon.co.jp/dp/4391162725
▽書籍『全てのネガティブをプラスに変える夫 髭・さては人生3周目だな 編』
https://www.amazon.co.jp/dp/4391162733