小6だった娘が修学旅行に持って行った「写ルンです」。母親が「ゼロになったら終わりだよ」と伝えたところ、「ゼロになったのでホテルのゴミ箱に捨ててきた」。はたして、思い出の写真はどうなったのでしょうか?
母親のヒサちゃんさん(@chaco_nail217)が、Threadsで紹介したエピソードがたちまち話題に。約5年前の出来事だそうで現在高校2年生になる娘さんのこのエピソードを、いまだに思い出し笑いしてしまうとのこと。
今回、ヒサちゃんさんと当時のエピソードについてお伺いするとともに、今、改めて注目を集める「写ルンです」の製造・販売元である富士フイルムに取材しました。
翌年の修学旅行でも話題に!?
――娘さんの5年前のお話ということでしたが、持ち物としてスマホは禁止で?
はい、スマホは禁止でした。「写ルンです」のみOKでした。
――当時、どのように準備を?
「サトーカメラ」と言う地元の専門店で購入しました。値段は忘れてしまいましたが私の時代よりは高かったかと。そして現像代も当時より高かったと思います。
――娘さんには「ゼロになったら終わりだよ」とお伝えしていたと。
はい。初期設定のみ教えてそう伝えていました。
――そのとき、娘さんは撮影した写真はどうなると思われていたのでしょうか?
写真がどこへ行くかは深く考えておらず、ただゼロになったので終わったと思ってゴミ箱へ捨てたとのことです。
――その後、捨てられてしまったカメラは?
娘の記憶では、修学旅行帰りに「捨てたらダメだったのでは…」と気付き、担任の先生に話し、ホテルに確認してもらったら「ありました!」と言う流れだったそうです。
――無事に手元に戻ってきたことにSNSの皆さんも安堵されていました。
当時、娘たちはコロナ禍で鎌倉への修学旅行が中止になってしまいました。そこで、近所の鬼怒川温泉一泊の日光へとなったのですが、友達にも家族にもたくさん笑ってもらえて、ちゃんとカメラも戻ってきたし良い思い出になりました。
担任の先生は、その次の年の修学旅行前に注意事項としておもしろく生徒さんたちに話していたそうです笑。
Threadsの皆さんにはたくさんツッコミをいただきとても嬉しかったです!
――ちなみに現像は?
料金は忘れてしまいましたがビックリした覚えがあります。写真の内容は食べたものやお友達との写真、行った先の景色などでした。デジカメのように確認もできないし無駄な写真もたくさんあった気がします笑。
当時の娘は、スマホとの画質の違いに驚いたようですが、今は高校2年生なので「逆にそれが良かった」と話してます。「写ルンです」の画質は好きなようですが現像代が高いため、なかなか手が出ないようです。
――ちなみに、ヒサちゃんさんは「写ルンです」の使用経験は?
現在48歳ですので、まさに「写ルンです世代」です。今のスマホのように持ち歩いてました!
今回話題となった「写ルンです」。販売数の動向や、ここ最近のムーブメントについて製造・販売している富士フイルム株式会社(東京都港区)にお話を聞きました。
レトロブームで、需要が回復傾向
――今回の投稿のように初めて手にする若い世代も多いのではないかと。
「写ルンです」の楽しみ方について、多くの方に関心を寄せていただいています。
スマホでの写真撮影に慣れ親しんだ世代にとって、フィルムを巻いて、ファインダーを覗いて撮影し、現像を経て初めて写真を見るという一連の流れは新しい体験となっており、「写ルンです」を通じて、写真の楽しみ方が広がっています。
――現在「写ルンです」の売れ行きは?
当社はレンズ付フィルム「写ルンです」を1986年に発売し、「いつでも、どこでも、誰でも、簡単に」写真が撮れる商品として大ヒットしました。その手軽さから、カメラは「一家に一台」から「一人一台」へと普及し、写真文化に大きな変革をもたらしました。
その後、デジタルカメラやスマートフォンの登場により、1997年をピークにレンズ付フィルムの需要が下落。
しかし、レトロブームを追い風に需要が下げ止まり、2021年から回復傾向に。現在、世界60か国以上で販売しており、海外売上高比率は約7割。これまでに累計で17億本以上を販売しています。
――今回のように、やはり修学旅行の時期は人気ですか?
「思い出を特別にする」ツールとして年間を通してお楽しみいただいておりますが、春・秋の修学旅行シーズンには特に多くのご要望をいただいています。
――今は、どの世代がよく利用されていますか?
現在は若年層を中心に楽しんでいただいています。人気再燃を受け、ユーザー調査をグローバルで実施したところ、「写ルンです」のスマホでは得られない“粒子感のある画質”や“現像を待つワクワク感”を新鮮な体験として、魅力に感じていただいていることが分かりました。
「写ルンです」は、単なる「記録」ではなく「思い出を特別にする」ツールとして価値を感じていただいています。
――スマホ時代ならではの取り組みは?
2025年5月から、スマホアプリ「写ルンです+」を提供しています。「写ルンです」やカラーネガフィルムで撮影した写真の現像注文と画像データの受け取りをスマホで手軽に行えます。
付加価値として、画像データを閲覧・整理できる「マイフィルム」機能や、スライドショー動画を作れる「フォトムービー」機能といった現像後の写真の楽しみ方を提案し、「写ルンです」での撮影体験をより多くの方々に楽しんでいただきたいと考えています。
――画像データもあるのですね! SNSとの相性は?
SNS上で写真を投稿することが自己表現の一つとなるなかで、「写ルンです」のアナログの質感がおしゃれさに繋がると人気を集めています。例えば、Instagram上で「#写ルンです」と検索すると、現像した写真やスライドショー動画にまとめた投稿が多くみられます。
他にも、街ゆく人に「写ルンです」を渡し、思い出を撮影してもらう投稿が話題となり、新たなトレンドも誕生しています。
海外から始まったこのトレンドが日本でも「#カメラ渡すので写真撮ってきてもらえませんか」というハッシュタグで投稿され、「写ルンです」が思い出を残す特別なツールとして受け入れられる一つのきっかけとなっています。
――今後利用される方に向けて、上手に撮る方法を教えてください。
「写ルンです」の最短撮影距離は1mで、それより近づいて撮るとボケてしまします。被写体を画角の中心にし、1m以上離れて撮影するとピントのあった写真に仕上がります。
また、写真を暗く写さないために、室内や夜間の撮影、屋外では晴れの日以外はフラッシュONにしていただくことを推奨しています。フラッシュが届く距離は1~3mのため、その距離内に被写体を配置すると明るく写真に収めることができます。
◇ ◇
今回の投稿に、
「『現像する』という概念www捨てたっていうところが潔くて好きです」
「ホテルのお掃除の人、良い人でよかったですね」
「受け取れてよかった!」
「ちゃんと回収できて良かったです」
「そっかー。画像データはクラウドに残ってると思ったのかな」
「ちょうどこどもが使います。捨てないように言っておこう」
と、カメラが無事に戻ってきたことへの安堵や、ジェネレーションギャップに関するコメントなどが寄せられています。
「写真を撮る」=「スマホカメラで撮る(データで残る)」が一般的となっている現在。今となれば、見たことも聞いたこともなかったカメラの扱い方が分からなかったのも当然かもしれません。お子様が使うときは、ぜひ丁寧に説明を。
巻いて、押して、撮り切ったら終了する特別感。「エモさ」を醸し出すフィルム写真の魅力が、今、あらためてクローズアップされているのも興味深いですね。
■ヒサちゃんさんThreads https://www.threads.com/@chaco_nail217
【富士フイルム関連情報】
■「写ルンです」スペシャルサイト https://quicksnap.fujifilm.com/ja-jp/
■公式Instagram https://www.instagram.com/fujifilm_utsurundesu/