「このニキに敬意を表してお香典包んだンゴ~、成仏してクレメンス」
そうつぶやき、「国立がん研究センター基金」に寄付したことをX(旧Twitter)で報告したカシシ(@the_m_r_p)さん。
カシシさんの寄付は、Xやnoteにがんと闘う日々を投稿していた22歳の若者「なかやま」氏が、「グエー死んだンゴ」と、ネットの掲示板でおなじみのスラングで自らの死をXに「予告投稿」していたことを受けてのものだった。
「なかやま」氏の最後の投稿は3億回以上表示され、ネット民たちからは、哀悼の意を表した「成仏してクレメンス」というネットスラングの弔辞が殺到した。
ネット民としてこの「国葬」に参列せねば
さらに、「なかやま」氏の死を悼むネット民たちは、献血を行ったり、「なかやま」氏が自らXなどで公表していた入院先(「北海道がんセンター」)や、カシシさんも寄付した「国立がん研究センター基金」などに、「お香典」と称した寄付を開始。
「カシシニキに便乗して少額だけどお香典包んだンゴ」
「わたしもちょっとだけど寄付してきた。ホームページから簡単にできたよ」
「ツイッタランドの民としてはこの国葬、参列せねば」
次々と寄付の報告コメントがXに投稿されるなど、「なかやま」氏を追悼した「クレメンス香典」は一気に波及。
カシシさんも寄付の翌日、「(「国立がん研究センター基金」の)昨日の私の受付番号7500番台だったんだけど、今もう10500番台いってるぽくてお祭りの効果すごいね。なかやまニキ~見てる~」と、Xに投稿するなど、まさにネット上の「国葬」ともいえるムーブへと発展していった。
がん治療・予防に取り組む医師も賛同
この「クレメンス香典」のムーブを受け、寄付を行う医療関係者も続出。
産婦人科専門医・指導医で、がん治療認定医のぱいく(@paikuhan2011)先生も、「やらない善よりやる偽善」とつぶやき、「国立がん研究センター基金」に寄付。
「このポストのお陰で、国立がん研究センターやがん研究会にご香典と称して寄付が集まる流れができてる。どこの施設も高額寄付すると名前が掲示されるけど、施設の人が気づいてこの『なかやま』さんの名前が載るといいな」と、Xに投稿した。
若い世代にこそ知ってほしい、防げる「がん」のこと
産婦人科専門医であるぱいく先生は、婦人科がんの治療に向き合うがん治療認定医。
まさに「なかやま」氏と同世代の若年成人にこそ、防げる「がん」があることを知ってほしいという。
「若くして亡くなられたなかやま氏は本当に残念でなりません。私は婦人科がんを専門としていますが、中でも子宮頚がんは20〜30代でも罹患するがんであり、医療の進歩によりワクチンでほぼ防ぐことができます。今回のような寄付の動きで研究が進むことによって、特にAYA世代と呼ばれる若年のがんを防ぐことができたらなと思います」(ぱいくさん)
<※AYA(アヤ)世代:Adolescent and Young Adultの略。15歳~30歳代の思春期・若年成人のこと>
「クレメンス香典」で救われる未来
ぱいく先生は「国立がん研究センター基金」に寄付する際、「医師・スタッフへのメッセージ」の欄に、「ツイッターで『グエー死んだンゴ』とツイートした『なかやま』さんを追悼するため」と記述。
それを見たネット民からは、「『なかやま基金』とかができるといいですね」といったコメントも寄せられた。
「きっかけがなんであれ、がん研究に寄付しようというムーブメントが起こるのは嬉しいことです。今や2人に1人は生涯に一度はがんにかかります。がん研究が進むことで、そういう時に恩恵が受けられたらいいなと思います」(ぱいく先生)
なお、「クレメンス香典」に参加した方々に対して、「寄付は寄付金控除の対象になるので、寄付された方は確定申告を!」といったアドバイスも寄せられた。