歌い手は平均年齢80オーバーの女性8人 京都・山科を題材にした楽曲「なんちゃって山科」とは 人生の苦労を吹き飛ばすハーモニーが魅力

京都新聞社 京都新聞社

京都市山科区ゆかりの作詞作曲家たきのえいじさん(76)が、同区を題材にした楽曲「なんちゃって山科」を制作した。区内で音楽活動をする平均年齢80歳超の女性8人が歌い手を務め、今年6月にCDも自費でリリースした。リーダーの女性は「なじみやすく覚えやすい曲。この曲でもっと山科を盛り上げたい」と意気込む。

なんちゃって山科の誕生のきっかけは昨年、区とつながりがあるアーティストらが作成した音楽アルバム「YAMASHINA SONIC」。たきのさんプロデュースの音楽グループ「山科屋」でリーダーを務めるカラオケスタジオ経営、長谷川君枝さん(79)は今年2月の完成披露フェスティバルに足を運び、胸を打たれた。「出演者もお客さんも一体になって歌う様子を見て『これが歌や』と思った」と振り返る。

長谷川さんを通じてYAMASHINA SONICを聞いたたきのさんもまた、深い感銘を受けた。「人生が描かれていて共感する部分がたくさんあった。『さあ、たきの、(楽曲を)書け』と力をくれた」と話す。何度も聞き返しながら曲作りに励み、4月上旬、なんちゃって山科を書き下ろした。

なんちゃって山科は軽快なポップス。歌詞に山科の駅、清水焼団地といった区内のランドマークが登場し、繰り返し登場する「なんちゃって山科」というフレーズが耳に残る。歌唱を担当する女性たちの中には夫を亡くしたり、病気を患ったりした人もいるといい、そうした人生の苦労を軽やかに吹き飛ばす明るさを込めた。

仲間内で歌うだけではもったいないと、5月10日、長谷川さん経営のカラオケスタジオでレコーディングを敢行。たきのさんが直接、指導し、YAMASHINA SONIC発起人の森田浩司さんらが手伝った。収録は5時間かかり、あまりの厳しさに泣き出す人もいたが、美しいハーモニーに仕上がったという。

「歌い慣れた演歌とテンポが違うので難しかったが、高齢の自分たちもこんなことができるとエネルギーを与えたい。みんなで楽しく歌ってほしい」と長谷川さんは期待を込める。

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