株式会社インディードリクルートパートナーズ(東京都千代田区)は、日本の就業観の変化について調べた「グローバル就業意識調査2025」の分析結果を発表しました。同調査によると、日本人における「仕事の重要度」は米国や中国といった主要国の中で最低水準であることがわかりました。重要度が低い背景にはどのようなことがあるのでしょうか。
調査は、日本、米国、中国、イギリス、フランス、ドイツ在住の 20~69歳のフルタイム勤務者1万4398人を対象として、2025年3月にインターネットで実施されました。
日本においてフルタイムで働く人の「人生における仕事の重要度」に着目して分析した結果、5年前よりも「仕事の重要度が上がっている」と答えた割合は、米国(51.6%)や中国(61.0%)いった海外主要国と比べ、日本は20.2%と最低水準であることがわかりました。
その背景には、ワークライフバランスを優先する価値観と、努力が賃金に十分反映されない現実があるといいます。
「仕事とプライベートのバランスを大切にしたい」と答えた割合を見ると、日本(44.6%)は6カ国中で最も高くなりました。
また、「仕事を通じて得られる最も重要な感情」について、日本では「経済的な満足感」(43.4%)が諸外国に比べて高く、働く動機として賃金が重要になっている一方で、現在勤めている会社に対して「自身の働きぶりに対して十分な報酬を支払っている」と答えた人は22.7%にとどまり、働く上で重要な報酬に自分の行動や成果が十分反映されていないと感じている状況がうかがえました。
続けて、「現在勤めている会社についての考え」を仕事の重要度別に分析したところ、「仕事の重要度が上がっている」と答えた人は、「社員を適正に評価している」(37.2%)や「自身の働きぶりに対して十分なフィードバック(評価や改善点など)を行っている」(35.9%)と感じている割合が高いことがわかりました。
また、自身の現在の仕事の状況については、「自分のスキルや経験を活かすことができている(51.9%)の割合も高く、こうしたコミュニケーションが自己効力感を育む上で重要であり、また、働く人にとっての仕事の重要度の変化につながる可能性が示唆されました。
さらに、現在勤めている会社に対して「社員に対して、学びや成長の機会を提供している」(42.2%)、「会社は将来的に成長できる」(37.7%)と感じている割合が高いことも明らかとなり、社員への成長機会の提供に対する満足感と会社の将来の成長への期待感が、働く人にとっての仕事の重要度に影響があることがうかがえました。
調査を実施した同社は、「日本人にとって仕事の重要度が上がりにくいのは『仕事への諦め』『キャリアへの諦め』『評価への諦め』『人間関係への諦め』といった「諦め」の積み重ねがある」と指摘。
その上で「仕事の結果だけでなくプロセス上の努力を認め、事実ベースでフィードバックすることで『こうすれば自分が成長できる』という希望が生まれる可能性があり、些細なコミュニケーションを積み重ねていくことこそが、働く人の自律的な行動を引き出し、自己効力感を育むことにつながる」と述べています。
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【出典】
▽IRP・Indeed「グローバル就業意識調査 2025」