華やかなファッションでバラの花々を眺める姿と、自宅の庭で防護服のような作業着を着て薬剤を散布する姿…。「薔薇を愛でるロリィタの理想と現実!!」とのコメントとともに投稿された、この対照的な2枚の写真がXで大きな反響を集めました。
投稿したのは、バラをこよなく愛するたなこ(@tikwb)さんです。
「理想(の写真)は、横浜の港の見える丘公園のローズガーデンで過ごしたひとときです。ロリィタファッションのお友達とお茶をしながらバラを眺める会をした際に撮影していただきました」
自宅でもバラを育てているたなこさん。「現実の写真」には、月に2回ほど行う薬剤散布作業の様子が映っています。株が増えたため、自分で薬剤を薄めて噴霧器で散布しているといいます。
「肌の露出を避けた作業服にマスク、ゴーグルを装備して、真夏でも早朝から作業します。とても蒸し暑いですが、欠かせません。『家でバラ育てている』と言うと優雅に思われがちですが、実際は地味な世話ばかりです」
ほんのわずかな「理想」の時間に出会うため
バラを育て始めたきっかけは、千葉の京成薔薇園で出会った一輪でした。
「『薫乃』というバラに香りごと心を奪われ、その場で新苗を購入しました。あの香りが日常にあったらどんなに素晴らしいかと思って」(たなこさん)
その後、育て方を学びながら少しずつ株を増やし、庭付きの戸建てを得たことを機に一気に本格化。現在は15種類ほどを育てているそうです。鉢植えよりも地植えの方が株が大きく育つため、苦労も多いもののやりがいを感じているといいます。
ただ、想像以上に苦労もあります。
「虫がとにかく多いんです。蕾を食べる虫や枝に卵を産みつける虫、根を齧る虫まで…。私は虫が苦手ですが、朝晩のパトロールは欠かせません。多い時には週1回ほど薬剤を散布します」(たなこさん)
春と秋の見頃という、ほんのわずかな「理想」の時間に出会うため、暑さや寒さ、虫との戦いという地道な「現実」を日々積み重ねている、とたなこさんは語ります。
「バランスは正直悪いですね。ただ、枝がぐんと伸びるなど、花のない時期でも小さな喜びはあります。開花期に報われる瞬間は何事にも代えられません」(たなこさん)