今年の春ごろから、江ノ島電鉄「極楽寺駅」(神奈川県鎌倉市)の駅舎をバックにした記念写真をネット上でよく見かけるようになりました。Xでは「極楽寺駅にマダムがたくさん」「みんな駅の写真撮ってる」といった目撃談も。なぜ、小さな駅舎に熱い視線が。
有名タレントもプライベートで訪問
極楽寺駅の駅舎は緑に囲まれ、屋根の上の駅名看板もどことなくレトロな印象。駅に続く石段や駅前の丸ポストも鎌倉らしいノスタルジックな雰囲気を演出しています。
可能性として考えられるのは、4月から放送されたフジテレビの月9ドラマ「続・続・最後から二番目の恋」の影響です。
同駅はダブル主人公でお隣さん同士、吉野千明(小泉今日子さん)と長倉和平(中井貴一さん)の地元駅としてたびたび登場した場所。登場人物たちが見た景色を追体験したいと感じるファンが「聖地巡礼」として訪れているようです。
江ノ島電鉄(神奈川県藤沢市)の広報担当者は、まいどなニュースの取材に対し、「極楽寺駅前で撮影いただいている方は増えた印象です。実際に極楽寺駅乗降人員も4月以降、増加しております」とコメント。
ドラマの放送開始とともに客足に変化があったことから、広報担当者は「ドラマで見た風景を楽しんでいただいている方々が多いかと考えております」と推測しています。
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同ドラマは2012年「最後から二番目の恋」、2014年「続・最後から二番目の恋」に続くシリーズ第3弾。前作の11年後を描いた内容で、主人公二人の年齢は59歳と63歳という設定に。中高年の人生観や恋愛模様は、主人公たちと同世代の多くの大人たちから共感を呼びました。そのせいか、SNSの投稿写真には60代女性4人組や熟年カップル、中年男性など、年齢層高めの人たちが目立ち、「いつもの聖地巡礼よりお姉様方が多い」「大人層ばかり」「20代もいるけど中年が多い」などの反応がありました。
ファンの中には有名人の姿も。タレントの若槻千夏さんは5月、プライベートで同駅を訪問。自身のインスタに「続 続 最後から二番目の恋の聖地巡礼をしに鎌倉へ」と投稿し、駅舎前で撮った写真を公開しました。心底うれしそうな表情からは、ドラマへの愛が伝わってきます。
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前出の広報担当者は、駅の見どころも教えてくれました。
「極楽寺駅は1904年に開業した小さな無人駅でございますが、1999年には『関東の駅百選』に選定いただいております。2019年に駅舎リニューアルをした際にも、旧駅舎はモニュメントとして保存させていただきました。木造かつレトロな雰囲気を皆さまに愛していただけてるのではと考えております」(広報担当者)
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同駅はこれまでも幅広いジャンルの映画やドラマ、アニメなどに登場しています。古くは、1976年放送の青春ドラマ「俺たちの朝」(日本テレビ系)が有名で、ロケ地になった同駅には多くのファンが訪れ、当時は社会現象にもなったといわれています。最近では今年1月放送のドラマ「スロウトレイン」(TBS系)、アニメでは2017年放送「南鎌倉高校女子自転車部」などでも描かれました。