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バックミラーに映った黒い影→目が塞がり、声も出せなかった子猫を保護 初めて“ニャー”と鳴き、甘えん坊になるまで

梨木 香奈 梨木 香奈

元保護猫の女の子「初(はつ)」ちゃんは、生後3週間ほどのときにX(ツイッター)ユーザー・はっちゃんムーさん(@CJnj5dvE6c3scbZ)夫婦に保護されました。タイヤのそばで動かずにいた小さな体は目が塞がり、猫風邪を患っていましたが、温かい手に抱き上げられた瞬間から初ちゃんの新たな猫生が始まったのです。

駐車場で見つけた小さな命

2014年8月1日、仕事を終えた妻を迎えに行き、帰宅した際のことでした。車をバックで駐車しようとしたとき、バックミラーに黒い影が映り込みました。確認すると、そこにいたのは目が塞がった小さな子猫。親猫の姿はなく、迷うことなく初ちゃんを抱き上げて自宅へ連れて帰ったといいます。身体は汚れていたため、すぐにお風呂でやさしく洗い、動物病院へ直行。診断の結果、生後3週間ほどで猫風邪にかかっており、目や耳も汚れていたとのことでした。

「次に来るときは名前を付けてあげてくださいね」と獣医師に言われたことで、夫婦は自然と初ちゃんを家族に迎える決心が固まったといいます。ペットが飼えない住居だったため、初ちゃんと一緒に住める新しい家を探すところから始めたのも、強い愛情の証でした。

小さな命を守るために…苦労と喜びの日々

お迎え初日は、動物病院からの帰りに離乳食と猫用ミルクを購入。しかし、初ちゃんは食べた直後に戻してしまい、心配が尽きませんでした。ひと月の間、鳴き声をあげることがなく、障害を疑ったこともありましたが、情報を調べたり獣医師に相談したりして試行錯誤の日々が続きました。妻がミルサーで離乳食を作ると、ようやく食べてくれるようになり、夫婦は喜びを分かち合ったそうです。

「ある日、妻が初ちゃんの名前を呼んだら、初めて“ニャー”と鳴いてくれたんです。妻はその場で号泣して……私は当時病気で入院していたのですが、動画を見たときに涙が溢れました」

小さな声での最初の鳴き声は、家族にとって忘れられない思い出となりました。その後、初ちゃんは順調に成長。やんちゃで家中を駆け回るようになり、あるときは姿が見えないと思ったら妻の耳元で眠っていたこともありました。「寂しくて人肌が恋しかったのかも」と、家族はその無垢な姿に心を打たれたと振り返ります。

これからも家族とともに歩む未来

10歳を迎えた今、初ちゃんは以前よりも眠る時間が増え、甘えん坊な一面も強まりました。それでも遊ぶときは子猫のように元気で、家の中を駆け回る姿は変わりません。夫婦にとって初ちゃんは、何ものにも代えがたい存在です。

「夫婦2人だけの静かな家だったのが、初が来てからは賑やかになりました。今では夫婦の会話の中心は初ちゃんのことです。初がいるから夫婦円満でいられるのだと思います」

初ちゃんは普段、おしゃべりでよく話しかけてくれるそうですが、特に印象的だったのは、妻が悲しみに暮れていたときのこと。静かに寄り添い、そっと膝をトントンと触れるような仕草を見せたといいます。「まるで“そばにいるから泣かないで”と伝えてくれているようでした」と語る飼い主さん。その優しさに、家族は何度も救われてきました。

初ちゃんが病気をすることもほとんどなく、年に一度の健康診断以外で病院にかかることはありません。「猫は人間の4倍の速さで歳を取るから、この子を見送るまでは私たちが先に逝くわけにはいかない」と、夫婦は冗談まじりに語りつつも、深い愛情と責任を胸に抱いています。

初ちゃんは今日も、家族に笑顔と温もりをもたらしてくれます。その瞳には、愛されて育った証が確かに映っているのです。

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