現在の繁華街では、お酒が飲めないことを公言するキャストさんが増えています。飲み屋で働くのにアルコールが一切ダメなのはご法度のように感じるかもしれませんが、「飲めなくても数字を出すコツ」を心得ていれば成績が悪くなることはありません。
お客様にお酒を飲ませることでキャストの成績となる夜業界。少しでもお酒が飲めるレベルなら、どうにかなるのがこのお仕事です。1杯ごとのドリンクならキッチンからこっそりとノンアルコールで出してもらい、誤魔化しがきかないもの(シャンパンなどその場で開栓するドリンク)だけきちんと飲むのが王道的なやり方でしょう。これなら肝臓のダメージを減らせて、アルコールに弱いことを知られずに立ち回れます。
しかし中には本気でお酒が飲めず、1杯〜2杯飲んだだけで倒れてしまうような子もいます。このような場合は先ほど紹介した方法が使えないため、お客様へ正直にアルコールが苦手な旨を伝えるしかありません。
お酒がまったく飲めないというのは、夜のお店においてマイナス要素であることは確かです。だからこそノンアルキャストは自分の弱みを埋められる要素を見つけなければなりません。例えば「お酒がなくても酔っているくらい場を盛り上げられる」や「座っているだけで十分なくらい見た目が良い」などの要素は必要です。
全く飲まずに酔いどれの相手をし続けるのは大変ですが、「ノンアルでもブチ上がる」のは一種の接客テクニック。アルコールを入れずとも酔っぱらいと同等のテンションを保てれば、意外にも許されます(笑)。
ここまでお酒が弱い人々のお話をしましたが、実は平気なのにわざと飲めない設定で仕事に臨むキャストもいます。体の負担を減らしたい、あるいは味が好きじゃなくて飲めないテイにするという巧みなワザですね。
飲めない設定とはいえ、シャンパンやワインなどの単価が高いものだけ口をつける場合もあります。「なんだよ生意気な」と思うかもしれませんが、「高いお酒なら頑張って飲みますよ」や「安酒は飲まないキャラ」として自分を演出すれば安売りをせず、客層をもコントロールできるので、仕事がしやすくなるのだとか。
また、お酒が苦手だけど上記の内容をうまくやれない人は、無理矢理にでも飲み続けて肝臓を鍛えるほかないでしょう。涙ぐましい努力を重ね、アルコール激弱から普通くらいにまで持っていく頑張り屋さんもたくさんいます。実際問題、お酒が大好きで仕方がないキャストは少なく、みんな「仕事」だから仕方なく口を付けているケースがほとんどです。
飲めない人は多いけれども、重要なのは切り抜けるテクニックと一工夫凝らすこと。夜の世界ではどんな手法を取っても「売り上げた人が一番偉い」のです。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。