【おむすび】結が踏み出した「大いなる一歩」の後は震災を描く 制作統括が語る作り手の覚悟

佐野 華英 佐野 華英

連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合ほか)第4週「うちとお姉ちゃん」では、主人公・結(橋本環奈)の姉・歩(仲里依紗)が突然糸島に帰ってきて、神戸での米田家の記憶が徐々に明らかになってきた。

今週は、放送開始以来初めて結が感情を露わにした週だった。第16回で、神戸で阪神・淡路大震災を経験してから心の奥にしまい込んでいた傷をようやく表に出し、本日放送された第20回では、ハギャレンのメンバーたちとともに「糸島フェスティバル」でパラパラを踊って、初めて自分自身を解放した結。

第1週から第3週まで、結の日常と心模様をじっくりと描き、第4週で初めて結が心の蓋を開け、続く第5週「あの日のこと」では、震災の記憶が描かれる。この構成について、制作統括の宇佐川隆史さんに聞いた。

来年で発生から30年…震災を今どう伝えるべきか

「4週と5週はまさに『糸島編』最初のクライマックスとなります。第3週までは、結を『見守る』という視点で物語を紡いできましたが、第4週で結が殻を破り、自分の力で一歩を踏み出します。その先に結が対峙するのが、過去の震災であり、姉の歩である、という物語になっています。次週、第5週では震災を描きますが、来年2025年で発生から30年となる阪神・淡路大震災について、今、どう伝えるべきかをスタッフ一同真剣に考え、覚悟を決めて制作した1週間でもあります」

被災者が100人いれば100通りの体験と思いがある

震災を描くに当たって、宇佐川さんと脚本家の根本ノンジさん、そして第5週の演出を担当した松木健祐さんをはじめとする制作スタッフは、数多くの被災者に取材をしたという。

「演出の松木を中心に、1年以上の取材期間をかけて、100人以上の被災者の方にお会いしてお話をうかがう中で、100人いれば100通りの体験と思いがあることを痛感しました。どれだけ取材を重ねても、膨大な資料を読み込んでも、知り尽くすことはできないんです。スタッフ間で何度も議論を重ねた上で第5週を制作しましたが、放送後、私たちの表現方法が本当に正しいのかという議論も出てくるかと思います。決して被災者の皆さんのことを『わかったふり』をせず、それでも伝え続けることが大事なのだと強く感じております。『おむすび』という物語が、神戸のことや震災のこと、そして私たちが今置かれている状況や、身の回りの人々に思いを馳せるきっかけになれば、と願って作りました」

次週第5週、視聴者である私たちも、心して見届けたい。

『おむすび』番組公式サイト

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