納豆大好き女子高生原さん ドッジボールで中指骨折→パック納豆を片手で食べられる道具を開発→夢は自助具のデザイナー

山陽新聞社 山陽新聞社
片手で納豆を食べるための自助具を開発した原さん
片手で納豆を食べるための自助具を開発した原さん

 片手だけでパックの納豆を食べたい―。そんな“難題”を解決したのは岡山県立岡山操山高(岡山市中区浜)3年原深唯さん(18)。右手の中指を骨折し、不自由な生活を余儀なくされた経験を基に、納豆のパックを固定し、たれ袋を開封する自助具を発明した。中高生を対象にした全国コンテスト入賞も果たし「将来は自助具のデザイナーになりたい」と夢を語る。

 原さんは高校1年の冬、ドッジボールの最中に右手の中指を骨折した。全治1カ月半。髪を洗い乾かすのにも苦労したが「大好きな納豆が食べられなかったことが何よりつらかった」と振り返る。

 自助具発明はそんな納豆への熱い思いが原動力だった。2年生の5月に開発をスタート。「パックを開く」「薄いフィルムを取り除く」「たれの袋を開ける」「かき混ぜる」―パックを開けて食べるまでの行程を動画撮影して検証した。パックを固定する必要があると気付き、約半年後、2種類の自助具を完成させた。

 納豆パックを固定する道具は、L字形のプラスチック板2個組みで、納豆を混ぜる時の振動を吸収できて粘着性のある耐震マットを底に貼った。小さな人形をあしらい若者が手に取りたくなるデザインにして「なっとうさん」と名付けた。

 たれの袋に穴を開けるものは「たれたれさん」と命名。U字形のプラスチック板の内側に針5本を取り付けた。「穴が大きすぎるとすぐ漏れるし、小さすぎると勢いよく飛び出る」ことから針の最適な太さと本数を追求した。

 自助具は、東京の教育関連企業が主催するコンテスト「自由すぎる研究EXPO2024」(8月、オンライン)に出品した。全国から3857点の応募があり、計37の企業や大学、自治体が審査、それぞれが金賞を選ぶユニークな大会。金賞は計48点選出され、原さんは最多となる五つを獲得した。

 この発明をきっかけに原さんは「アイデアを形にできた時の達成感はとても大きい」と、生活を補助する道具の開発にのめり込む。

 今春には岡山市内の老人ホームで利用者から困り事を聞き取り、スプーンを持ちやすくしたり、錠剤を包装から出しやすくしたりする器具も作った。アイデアノートには他に30近い案を温めているという。

 原さんは「生活を補助しつつ、外出先でも使いたいと思えるおしゃれな自助具が私の理想。いろんな人の困り事に寄り添う道具をたくさん作っていきたい」と決意を新たにしている。

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