妊娠していた野良猫
2024年6月1日19時頃、福岡県在住のNさんと娘さんは、久しぶりに公園を散歩していた時、ある猫と出会いました。その猫はお腹が大きく、明らかに妊娠していました。
「季節は雨の多い梅雨の時期で、外で出産するのは大変だろうと思いました。迷うことなく、その猫を自宅で保護することにしました」
Nさんはその場で保護を試みましたが、簡易キャリーケースでの捕獲に失敗しました。翌日、Nさんはその公園で餌やりボランティアをしているHさんにも協力をお願いしましたが、くるちゃんが警戒していたため捕獲は失敗に終わりました。
6月3日、Nさんは捕獲器と網を用意し、再度挑戦。しかし、くるちゃんは餌だけを上手に食べてしまい、なかなか捕獲器に入ってくれませんでした。最終的には、くるちゃんが懐いている中学生のMちゃんがちゅ〜るでおびき寄せ、その瞬間Hさんが網で押さえ、捕獲に成功したそうです。
「くるちゃんはとてもお腹が空いていたようで、警戒しながらも近づいてきました」
6匹の子猫を出産
くるちゃんはとても痩せていて、お腹が大きい状態での生活は危険でした。Nさんは、普段から「クレープと猫の家」というクレープカフェ兼保護猫譲渡施設でボランティアをしていたのですが、くるちゃんが安心して出産できるように、シェルターではなく自宅で出産してもらうことにしました。Nさんは、出産後赤ちゃん猫たちが成長したら、母子共に里親を募集することにしました。
6月3日夜、帰宅後すぐにくるちゃんをケージに入れると、くるちゃんは翌朝までケージ内のトイレで固まっていました。とても緊張している様子でした。
中学生のMちゃんは当初この猫を「くぅちゃん」と呼んでいたのですが、「クレープと猫の家」に以前同じ名前の子がいたため、「くるちゃん」に改名しました。くるちゃんはとても穏やかな性格で、妊娠中もお腹を撫でさせてくれました。名前を呼ぶとその場でゴロゴロと喉を鳴らしながらフミフミを始め、抱っこしてあげると窓の外の景色を眺めていました。
「6月25日、くるちゃんは無事に6匹の赤ちゃんを出産しましたが、そのうち2匹は産後2日間の間に立て続けに亡くなりました。人間のサポートがあっても赤ちゃんが亡くなることがあるのだと知りました」
深い母性愛
驚くべきことに、くるちゃんは出産当日の夜、他の猫が出産した生後約2週間の赤ちゃん猫も自分の子として育て始めました。
「わが子と分け隔てなくおっぱいを与え、グルーミングする姿に計り知れない母性本能と強く美しい母の姿を見ました。くるちゃんの母性に触れ、自分の生き方を改めて考えました」
くるちゃんの幸せを願って
Nさんと「クレープと猫の家」のオーナーは、くるちゃんとその赤ちゃん猫たちが成長したら里親を募集する予定です。Nさんは高齢者に子猫を譲渡することはしませんが、里親が高齢だからと言って断るつもりはありません。
「60代でも健康で時間とお金に余裕がある方もたくさんいらっしゃいます。逆に50代でも忙しくて猫を飼うのが難しい人もいます。総合的に考えて譲渡します」
くるちゃんが新しい家族と幸せに過ごせるよう、Nさんと「クレープと猫の家」のオーナーは心から願っています。