「救急車で簡単に救外来れるけど、入院適応じゃないとなると、『どうやって家に帰るんですか?』『おぶって帰れってことですか?』とか家族に詰め寄られるの悲しい。」
こんなポストをしたのは、救急外来も担当する医師「タミオせんせい」(@unicorn_tamio)です。ポストには、さまざまなコメントが寄せられていますが、タミオ先生が投稿した趣旨とは異なる捉え方もされているようです。
反応として多かったのは、「救急車に慌てて乗って帰りの手段を考えていなかった」「有料のタクシーに乗って帰りたくないのでは?」という内容です。 「裸足でタクシー帰宅しました✨」などの投稿もあり、自力で帰った人も大勢います。また、帰れない場合の解決策についてのコメントも多く寄せられました。
たとえば家族が病院に同行するなら、家族は自家用車を運転して病院に向かっても良いそうです。ただし緊急走行はできないので、交通ルールを守って救急車とは別に向かいます。(まいどなニュースでは、救急車に乗るときに準備したいものについて記事にしています→こちら)
病院のロビーで朝まで待つことについては、「防犯の都合、病院の大きな待合は閉鎖していることが多いと思います。救急外来のまえの待合で待つことは可能ですが、宿泊を前提とした広さやスペースはもちろんありませんし、他の受診者がいますのでその兼ね合いになります」(タミオ先生)
一方で、タミオ先生が投稿した本来の趣旨は「病院への安価な交通手段として救急車で病院へやってきて、手のかかる介護が必要な家族を入院させて欲しい、だけどその思惑通りにいかなかったので、なんとか入院させようと医者に詰め寄る」というものです。
そのため、そういう人は「帰る手段がない」「こんな人持ち上げれない」「何かあったらどうするんですか?」の3セットで詰め寄ってくることが多いそう。さらに酷い人だと、病院を出た玄関でもう一度救急要請する人までいるんだとか。
そういう人への対策を講じているという現場の人からの声も多数寄せられました。
「入院適応がなく帰宅困難そうな救急要請に対しては応需の条件として 歩行可能かどうかに関係なく治療上入院が必要でない場合は帰宅になること、帰宅手段や入院の相談に応じられないことを予め承諾いただいて 到着時、そのことを伝えているか家族の前で救急隊に確認しています。」
「施設で救急車を呼んだ場合『入院出来ない場合は?』と聞かれます。『はい、施設の車で迎えに参ります』在宅の場合も、それ、聞いた方がいいのでは?」
「私は軽症が想定される時は『入院適応は医学的に判断します。診察の結果入院にならなかった場合は帰りの手段は大丈夫ですか?』と確認します。」
これらのコメントの多さから、入院させたいという思惑で救急車を呼ぶ人が少なくないことが伺えます。
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そもそも救急外来についてタミオ先生は、「緊急事態に対応して応急処置をするところですので、専門医が専門的な診療をする場所ではないというところを理解して欲しいです。今日死ぬかもしれない人を救い上げる最低限の医療処置を行うところなのです」と話します。
救急外来の役割から考えると、ずっと調子が悪かったけれど我慢し続けて、いよいよ悪くなったので救急車を呼ぶという使い方は慎んでほしいとタミオ先生。本当に悪くなってしまったらもちろん救急車を呼んで構いませんが、あくまでも応急診療するためのセーフティネットなので、そこまで悪くなる前にきちんと専門医に診てもらってほしいというのが医療従事者の考えです。
家族をみるのが大変だから入院させたくて救急車を呼ぶのはもちろん論外ですが、本当に必要な人が救急車を利用できるように、事前に対処できることはしておきたいものです。救急車を呼ぶかどうか迷った場合の#7119番も活用してください。
■タミオ先生のX https://x.com/unicorn_tamio