新茶シーズン 茶樹の下にいた生後間もない9匹の子犬 2カ月後、再び同じ状況の子犬たちが見つかった

松田 義人 松田 義人

静岡県の名産としてまず思い浮かべる「お茶」。お茶農家は春先の新茶シーズンは大忙し。お茶の刈り取りを始める時期ですが、そんな最中にとある農家のお茶の木の下に生まれたばかりの9匹の子犬がいました。

人間が棄てたとは考えにくく、おそらくは地域で過ごす野犬の子どもたちだろうと思われました。

少しずつ根気強くミルクを与え続けることに

農家のオーナーは、子犬たちの命を思い静岡県内の保護団体、アニマルフォスターペアレンツ(以下、アニマルフォスター)に保護を依頼。同団体のメンバーももちろん快諾し、そのままなら命を落としていた可能性もある子犬たちのを救うべく連絡してくれたことを深く感謝しました。

乳飲み子の世話をできるボランティアは限られていますが、アニマルフォスターと懇意のベテランのボランティアがおり、子犬たちはその家で世話を受けることになりました。

まずはミルクを与えますが、しかし生まれ間もない子犬たちです。なかなか上手には飲んでくれません。少しずつ少しずつ、根気強くミルクを与え続けました。

9匹の子犬が成長した矢先に入った意外な連絡…

与えるべきミルクの量はかなり多くブログやSNSなどで寄付の呼びかけを実施。すると、多くの支援者からミルクが贈られました。メンバーは「言葉では言い表せないほど、嬉しかった」と言い、そして多くの人々の気持ちが9匹の子犬たちを無事に救ってくれたと大いに喜びました。

後に、9匹の子犬たちは、複数の個人ボランティアが5匹を迎え入れてくれ、4匹をアニマルフォスターで育てることにしました。試行錯誤を続けながら日々でしたが、いずれの子犬たちも無事に離乳期を終えまん丸に成長してくれました。

そんな矢先、アニマルフォスターの元に一本の連絡が入ります。それは「茶畑の子犬がいるから引き取って欲しい」というもの。9匹がいたお茶の農家とは別の農家からの依頼でした。

5匹の子犬は暑さからお茶の木の根元に首を突っ込んでいた

現場の茶畑はお茶の刈り取りを終えて葉が全くなく、日中は日陰がなく、日差しが直撃する状態でした。

暑さからか、お茶の木の根元に逃げ場を求め、首を突っ込んで身動きが取れぬままの5匹の子犬がおり、すぐにハサミやノコギリでお茶の木の枝をはらって、子犬たちを救出。動物病院に連れて行きましたが、3匹は亡くなってしまいました。

生き残った2匹はアニマルフォスターの代表の家で世話をすることにし、一時は生死の境を彷徨いながらも、なんとか無事に成長。自力で排泄できるようになり、やがて目も開けられるようになりました。

代表は「目を開けて初めて見るのが、母犬ではなく、人間のおばあちゃんというのはちょっとかわいそうだ」と謙虚に言いますが、この小さな命を今一度救ってくれたことは、動物好きからすれば大いに頭が下がることです。

現在、最初の茶畑の9匹のうち数匹はすでに「ずっとのお家」を掴み、幸せな犬生を歩み始めました。まだ家族が見つからない数匹と合わせて、新たに別の茶畑で保護された2匹も今後安心して過ごせる「ずっとのお家」が見つかることを願うばかりです。

アニマルフォスターペアレンツ
https://anfospe.com/

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