「娘の宿題…合ってるのになぜ」
ありさん(@1GXuB8NU7dZBZPx)のX(旧Twitter)の投稿が話題です。
ありさんが紹介したのは、小学校1年生になる娘さんに出された宿題。「〇に あう かずを かきましょう」という算数の問題に対し、娘さんはすべて回答、答えも見事に合っています。にもかかわらず、ところどころ丸がついておらず、間違いとされている箇所がありました。それは数字の書き方や書き順に関する指摘でした。
答えは合っているのに――先生の基準に対し、「厳しすぎない?」とありさんは疑問に思います。
この投稿について、リプ欄にも多くの反響が。
「これじゃやる気なくなっちゃう」
「数学は答えや解き方合っていれば〇でいいんだわ」
「丸をつけた上で赤ペンで書いてくれたらいいのに…」
など、先生のやり方を疑問視する人もいた一方で、
「細かく丁寧に見てくれてると思うと、今後は親子ともに楽になると思います」
「手間をかけてくれていて逆に良い先生かもしれません」
「誰にでも、読んでもらえる字を習得させるのが今なら、このご指導が適切だと思います」
というように、先生のやり方について好意的に受け取る方もいました。
発達障害の子どもに対する教育の在り方とは
「計算が合っていること」、「正しい書き方も理解すること」、どちらも大切なことであり、そのうえで先生のやり方について評価するのは難しいことです。
しかし、ありさんが今回の投稿を行ったのには、もう一つ大きな理由がありました。
実は、ありさんの娘である“こっこ”さんには発達障害があります。生後4ヶ月から落ち着きのなさを指摘され、2歳から療育を受けはじめました。自閉症スペクトラム、注意欠陥多動症、学習障害などの診断を受けたのは、5歳の頃だったといいます。
知能には問題はありませんが、特性からこれまでにも学習面においてさまざまな困難がありました。
「入学前から、ひらがな・カタカナなどを教えてきましたが、なかなか覚えられませんでした。お手本が横にあるにも関わらず、鏡文字(※文字を左右対称に書いてしまうこと。学習障害など発達障害がある子どもに多くみられるといわれている)になってしまったり。数字は、1~10を数えても、6~8あたりが必ず抜けてしまって、いきなり10にいってしまったりしました」(ありさん)
小学校に入り、少しずつひらがなも数字もやっと書けるようになってきたそうですが、まだまだ完全には覚えられてはいないとのこと。皆と同じ教室で過ごすのも苦手であり、現在は支援学級で先生とのマンツーマンで授業を受けています。
はじめは、「勉強は学校でやる」といって、家で宿題をやることも嫌がっていたといいます。ですが、先生から根気強く言われ続けて、最近ようやく家で宿題をするように。
「その“初めて家でやった宿題”が返ってきて…答えがあっているにも関わらず、『なぜ答えが合っているのに、◯ではないのだろう?』と疑問が湧きました」(ありさん)
ただし、ここでありさんは、先生を批判したいわけではないといいます。むしろ先生はとてもこっこさんに丁寧な接し方をしてくれており、その点ではとても感謝をしているそう。
また、先生は「みんなに対して、丁寧な書き方の指導をしている」そうで、今回の丸つけの方法が教育者としての方針上のものであったことも、ありさんは分かっています。
しかし、読み書きがまだうまくできず、学校生活に困難も抱えながら通学しているこっこさん。厳しくされることで、勉強に苦手意識をもってしまわないか――ありさんはそんな懸念も抱きます。
「(娘が)やっと、お勉強をする気になってきたので。本人のやる気も大事にしていただけたら嬉しいなと思います」(ありさん)
勉強以外にも色々な課題
学校生活を送るうえで必要な支援・対応は、勉強のみに限った話ではありません。
発達障害を抱えるこっこさんは、授業中に衝動的に飛び出してしまう、聴覚過敏でガヤガヤという喧騒が苦手、気持ちの切り替えが難しい、といった特性上の問題から、学校での生活や集団行動に大きな困難があります。
「そこは、娘に合わせて柔軟に対応していただけたら。と先生にはお願いしています。いつもそのように対応してくださって、感謝しております」(ありさん)
また、子どもがより学校に安心して通える環境を整えて欲しいとも願っています。
こっこさんは幼稚園時代、とある園児の子に一方的に乱暴され、頭を切るなどの怪我をさせられたことがあったといいます。それで一時不登園になることもありました。
小学校に入ってその子と離れることになり安心した矢先、またこっこさんに嫌がらせをしてくる別の子が出てきてしまったといいます。
もちろん、こっこさんだけでなく、どんな子どもであっても、学校でいじめや乱暴をしてくる子に出会ったり、クラスメイトにからかわれたり悪口を言われてしまったりする可能性はあるでしょう。
しかし、発達障害の特性上の理由もあり、不安を強く感じやすいというこっこさん。そのような子どもとの関わるなかで大きなストレスを感じ、登校できなくなってしまったり、勉強が嫌になってしまったりしてしまう可能性もあるのでは――と、ありさんは不安に思っています。
このような問題はありながらも、こっこさんの通う小学校は、学校全体での支援の体制が手厚いことで地元でも知られた学校。実際の先生がたの対応にも、ありさんは感謝しているとのこと。
「(学校に)専門的な知識ある方が多いからこそ、こちらも、もっとこうしてほしい。という気持ちが強くなってしまうのかもしれません――」
ありさんはそのように前置きしながらも、「ひとりひとりの特性に合わせた支援が行き届く世の中に変わっていってくれたら嬉しい」と想いを語られました。
親・先生間で連携を取りながら
また、ありさんは、今回の投稿の後日談についても教えてくださいました。
家でこっこさんの宿題に付き合ったというありさん。そこで、こっこさんが字を書いているところを目の当たりにし、驚いたといいます。
「数字の書き順がハチャメチャなのがわかりました。すべて上からじゃなく、下から数字を書いていました」(ありさん)
先の宿題でも、先生は綺麗に書けている数字は正解にしましたが、明らかに書き方が違っていたものには、あえて丸をつけなかったのでしょう。つまり、単に厳しく対応していたのではなく、先生なりにこっこさんに寄り添って指導を行っていたのです。
ありさんは、実際に先生からお話を聞きつつ、娘さんの勉強に直接付き添うことで、そのことに気づくことができたのですね。
一方で、最近の先生側の対応にも変化がありました。
宿題の丸つけの際、先生から「よく出来ました」というスタンプが押されるようになったといいます。「もしかすると、先生が今回の投稿を見て、配慮をしてくれたのかもしれない」とありさんは考えています。
子どもの対応については、学校側だけではカバーしきれない部分もありますし、家庭内でも学校での状況が見えづらい部分もあるかもしれません。ですが、家庭と学校の両面から見ることで改善がなされ、よりよい支援・教育につながる可能性もあります。
ありさんは、今後も学校や先生と連携を取っていきたいと話されています。
娘の夢を応援したい
「読み書きや計算など、これから生きていく上で困らない程度の学力は身につけてもらいたい」
こっこさんの学習面について、そのような願いをもつありさん。一方で、こっこさんに対し、大きな期待を抱く分野もあります。
実はこっこさん、工作や絵など、芸術に関する分野がかなり得意。
特に、音楽への取り組みには目を見張るものがあるといいます。3歳からはじめたピアノやエレクトーンでは、持ち前の「好きなことに対する集中力と、吸収力の高さ」もあって、いまではコンクールで金賞を取るほどの腕前に。将来の夢もピアニストや作曲家、音楽の先生になることだそうで、1日に5~6時間も練習するほどだとか。
実際、発達障害の方のなかには特定の分野に秀でた能力をもつ方も多く、芸術方面で才能を発揮する方も少なくありません。こっこさんも音楽の道に進んでいけるよう、ありさんは母親として応援したいといいます。
◇ ◇
学校や先生の方針、親御さんの期待や不安――子供の教育、特に発達障害のお子さんに対しての教育には、さまざまな課題があるでしょう。
しかし、何より大切なのは、障害があっても、他の子どもたちと変わりなく学んだり得意なことを見つけたりしながら成長し、夢や希望に向かっていけるような環境をつくってあげることなのかもしれません。
■ありさんのX(旧Twitter)はこちら
→https://x.com/1GXuB8NU7dZBZPx