ある子猫が2023年9月、岡山県内の畑に1匹でいたところを保護された。
保護猫活動を支援しているYさんの家族はお父さんの四十九日法要と会食を終えて帰宅し、キッチンでおしゃべりをしていた。すると、カタンと門が開く音がしたという。「みんな一瞬、お父さん帰って来た!?と顔を見合わせ、恐る恐る出てみたら、お隣さんが佇んでいました。『実は今日畑で子猫を拾ったのだけど、どうしたら良いのかわからなくて…』と、私を訪ねて来てくれたのです」
保護主は子猫を飼う覚悟で拾ったが、飼い犬が予想以上に拒否反応を示して、とにかく吠えて困っていた。
Yさんが見に行ってみると、生後間もない小さな子猫。「カイロがあったら敷いて温めて下さい。この大きさだと、2〜3時間おきに授乳が必要だと思いますと伝えたのですが、保護主さんの顔はみるみる不安でいっぱいになりました。ここは私が頑張るしかない!と子猫を預かりすぐさま猫グループLINEにメッセージを送り、翌日京都に戻り次第、Bさんに預かってもらえることになりました」
猫仲間に遠隔で指示してもらったおかげでJJちゃんは無事、夜を越した。翌朝、動物病院に行くと、「獣医さんには、元気だし新幹線も大丈夫と言ってもらえました。爆睡してはミルクを飲み、夕方にはシリンジを自分で吸い込む勢いでミルクを飲みました」
少し気の強いやんちゃ猫に
Yさんは京都まで新幹線で移動する中、JJちゃんが鳴いたらどうしよう、もし猫アレルギーの人が周りにいたらと思うと不安だった。しかし、そんな心配は不要だった。「おりこうに爆睡してくれて、そっとタオルをめくってみると大の字で寝ていました(笑)大物になる予感がしました。無事到着してお届けに行くことができました」
保護主から預かった時は少し体力が落ちていたのか、大人しかったJJちゃん。Bさんのところで箱から出すと、環境が変わって驚いたのか、一丁前にシャーーー!と威嚇した。
「あまりにもちっちゃい"シャー"で私は気付かなかったです(笑)」
JJちゃんは身体つきがしっかりしていた。保護当時197.5gだった体重は、瞬く間に250gに増えたという。その後も1週間で100g以上体重が増え、歯が生え始めた。
JJちゃんという名前の由来は、Yさんの甥っ子がYさんの父親を「じいじ」と呼べず「じぇーじぇー」と呼んでいたことに因んでいる。
「父の四十九日の法要が終わって帰宅した夜にお隣さんから託されたJJ。猫が大好きだった父が虹の国で出会った子に『あそこにいる優しい人に拾ってもらって、うちの娘に預けてもらいなさい』と言ったのかなと。家族みんなで、こんな日にやって来るなんて不思議なご縁だねと話していたのですが、きっと父が采配したんだろうから名前はJJにしようと自然に決まりました」
その後、離乳が終わったJJちゃん。Yさんが里親に繋いでくれた。新しい名前は、ミミ子ちゃんになった。「里親さんに引き取りに来てもらうと、ご主人の頭に登って、いつものペースでJJイズムを発揮していました。すごくヤンチャに仕上がっているので、ちょっぴり申し訳ない気持ちに(笑)猫を心から愛してくれる優しくて楽しいご夫婦のおうちの子になれて良かったと思います」
後にミミ子ちゃんの里親は、ミミ子ちゃんが寂しくないよう、男の子の猫も迎えてくれた。あっという間に仲良くなって、本当の姉弟のように暮らしているそうだ。