確定拠出年金(通称DC)は、老後の資金を自身で投資し運用することで、将来受給する年金を確保する制度のことです。これには企業型と個人型の2種類があり、個人型はいわゆる「iDeCo(イデコ)」と言えばわかりやすいかもしれません。
個人型の確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」
少子高齢化などを背景に、従来の老齢年金制度を補うために導入された制度がiDeCoです。iDeCoでは、銀行や証券会社といった運営管理機関が提案する金融商品に加入者が投資をし、運用してもらうことで、将来受給する年金を確保します。そのため、年金受給額が人により異なってくるのが従来の年金制度との大きな違いです。現代は老後の生活資金に2,000万円が必要と言われています。簡単に言うと「自分の年金を自分で増やす」という制度なのです。
「NISA(ニーサ)」との違い
同じような制度として「NISA(ニーサ)」がありますが、iDeCoとの大きな違いは運用している資金を引き出せる年齢が違うことです。NISAは任意のタイミングで引き出せるのに対し、iDeCoで運用している資金を引き出すには原則的に60歳を待たなくてはなりません。では、60歳を目前にした50代半ばからiDeCoを始めて効果はあるのかを検証していきましょう。
50代半ばから始めて効果はあるのか
50代半ば、仮に55歳としておきましょう。この場合、iDeCoで投資し運用できる期間は5年間です。たった5年間の運用で、効果はあるのか疑問に思う方もいるかもしれません。結論から申し上げますと、一定の効果は期待できます。その理由は、NISAとiDeCoの最大の特徴は高い節税効果であり、運用で得た利益は基本的に全額非課税だからです。老後の資金形成としてiDeCoを活用せずに貯蓄や投資をしても非課税の恩恵は受けられません。その点からも、短い加入期間でも効果が期待できます。
iDeCoの注意点
ただし、注意点もあります。60歳になれば運用した資金を取り出せると前述しましたが、iDeCoは通算加入等期間が10年に満たないと受給開始年齢が繰り下げられます。具体的には、老齢給付金の受給を開始できる年齢は下記の通りです。
55歳でiDeCoを始めた場合 、60歳の時点では受給要件を満たさないため 、老齢給付金を受け取ることができません。このようなケースでは、受給開始年齢が引き下 げられます。今回の例では 通算加入者等期間が5年間となるため 、受給開始可能年齢は63歳です 。
しかし、受給開始年齢は75歳までの間で自由に設定できるため、定年後も再雇用で働くというプランなどを立てておけばそれほどデメリットにはならないでしょう。現代は人生100年の時代と言われ、50代半ばでもまだ遅くありません。確定拠出年金を活用し、快適な老後に備えましょう。
【監修】佐藤有希子(さとう・ゆきこ)愛知県在住。3級ファイナンシャル・プランニング技能士。2017年よりWebライターとして活動を始め、主に金融・お金に関する記事の執筆を行うこれまで携わった記事は800以上。