多頭飼育崩壊でレスキューされた全盲の猫→ソファの下から出てこず…→新たな家族に顔スリで愛情を示すまで

渡辺 陽 渡辺 陽

ちゃおくん(7歳・オス)は、2022年5月に大阪市内の多頭飼育崩壊した家から保護団体にレスキューされた。保護当時は5歳くらいだったが、生まれてからずっとケージの中に入れられて、外に出たことがなかったという。不妊手術、初期医療が終わった後、保護活動をしているWINさんが引き取った。

「両後脚がない猫、片目がダメな猫、少し弱ってる猫、全盲のちゃおくんを受け入れました。ちゃおは両目以外は健康だったので、ケージから出てフリーの生活を満喫していました。それはそれは楽しそうに『自由って楽しい〜』という表情をしていました」

ちゃおくんは、まるで「見えているんじゃないかな」というくらい機敏に動いていた。
「その時はタワーとかの配置を変えないようにしていました。匂いが頼りなのか、動く空気の流れを読んでいるのか問題なく暮らしていました」。ちゃおくんは、ケア後に譲渡会へ出られる猫だったので参加したという。

撫でられるのが好きな寂しがり屋

大阪府在住のYさんは、両親の影響を受けて保護猫と暮らすことを考えるようになった。

「うちでは、父親が目が潰れていた子猫を保護して飼い、その子が1歳半で亡くなった後、譲渡会で出会った3匹の黒猫を飼っていました。自然と私も保護猫に興味を持つようになり、2022年の夏に仕事がリモートメインになったタイミングで、譲渡会に参加してみました」

2022年6月19日、Yさんは譲渡会に参加した。「少しでも貰われにくそうな子を貰いたいと思いました。ちゃおくんは目が不自由でしたが、体が大きいのが愛おしく、顔が可愛くて、表情も癒し系だったのですぐに決めました。全盲ということに全く抵抗はありませんでした。保護されてからあまり期間が経っていなかったようなので、心配なんかしなくても、すぐに家族を見つけられたかもしれません」

ちゃおくんは、7月23日からトライアルをスタート、8月10日に正式譲渡された。「家に来た当初は、すごく怖かったと思います。ソファの下から全く出てこず、ごはんも食べに出てこないので、何とか手からウェットフードをあげていました。人間がいない間に、トイレをして、ドライフードを食べていました。でも、数日でソファ下の生活から脱出し、徐々に慣れていってくれました」

名前は、ボランティアがつけた名前をそのままにした。ただでさえ環境の変化があったので、名前くらいは変えずにこのままでいこう!ということになった。Yさんは3匹猫を飼っているが、ちゃおくんは一番の撫でられ好き。気付けばぴとっと横にくっついているそうだ。

「家に来て1か月は全く触れませんでした。他の2匹が撫でられているのを見て何か思うところがあったのか、ある時、別の白い猫を撫でていると、横に撫でられに来てくれました。そこから触れるようになり、今では人間がのしかかっても気にせず、力強く顔をすりすりしてくれます。でも、残念ながら膝には乗ってくれません」

ちゃおくんは猫も大好き。1匹になると他の2匹の女子猫を探して『ふんがー』と鳴いて部屋をうろうろする。基本みんな仲良しだが、愛情が爆発してテンションが上がると妹猫を抱きしめ、蹴り蹴りして怒られている。「口角が上がっている感じの顔をしていて、今でも仏のような寝顔に癒されます。すっかり猫中心の生活になりました」

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