京都大学の卒業式が26日、京都市左京区のみやこめっせで行われた。今年もさまざまな出来事や話題にちなむ仮装をした学生たちが見られた。メイド、プロ野球・阪神の岡田彰布監督…。ユニークな格好の学生たちに思いを聞いた。
メイド風のコスチュームに身を包んだのは経済学部の男子学生(25)。メークはプロに頼んだという本格派で、「一度、女性の姿をしてみたかった」と話す。
留年と休学を経て6年で卒業し、春からは監査法人で働く。在学中に三大国家資格とされる公認会計士試験の2次試験を突破。ストレスによる歯ぎしりで「歯が欠けた」ほど、勉強に打ち込んだという。
戦没学生の遺稿集「きけわだつみのこえ」を読んで感銘を受け、「彼らが生きられなかった分を生き、日本を発展させる責任があると思う」ときっぱり。ベンチャー企業で働いたり、M&Aに関わったり…。アメリカにも渡りたいといい、希望を膨らませる。
16日に北陸新幹線金沢―敦賀間が延伸開業した福井県。福井県と言えば恐竜ということで、ティラノサウルスもいた。医学部の男子学生(24)は「コスプレをしたかった。北陸新幹線が話題なので選んだ」という。東京大学の工学系の大学院に進み、ワクチンや遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」などに関する研究に打ち込む。「将来は世界で活躍したい」と意気込む。
農学部7年の塩谷拓真さん(25)は阪神の岡田監督のユニホームを着た。しかし、傍らのこたつを利用した「立て看板」には達筆な字で「東大に憧れるのをやめましょう」と。「岡田監督のユニホームの中に、大谷翔平のを着ているんです。特別養護老人ホームに入っている祖母が阪神ファンなので、写真を送ろうと思って着ました」。ふざけて騒ぐだけでなく、家族への感謝も込められていた。