「もし鳥山明先生に会うことがあったら伝えてほしいことがあるんです」医師の漫画家へのお願いとは?「最後の一文で泣いた」

太田 浩子 太田 浩子

 漫画『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』の作者「松本ひで吉(@hidekiccan)」さんが、あるお医者さんとのやりとりをXに投稿して話題になりました。

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「漫画家さんなんですね、もし鳥山明先生に会うことがあったら伝えてほしいことがあるんです」
と、むかしあるお医者さんに言われた。
 
小児病棟にいたとき、ドラゴンボールが大好きな男の子と出会ったんだそう。
 
その子は治療のたびにはげしく泣くので、お母さんも辛くてみていられなくて部屋の外に出てしまうほどだったんだそう。
 
そんな子が、ある時から急に泣くのをやめた。
 
それはベジータがブゥを倒すために自爆するシーンを読んでのことだった。
 
「ベジータ、フリーザの時は泣いてるやん。それがな今回は泣かなかってん。
ベジータは家族のためにって思ったら強くなれたんや。
ぼくはベジータ強くてかっこいいから大好きや。
ぼくもお母さんのためにもう泣くのやめる」
 
それからは二度と泣かずに治療を受け続けたんだそう。
 
その先生からは、ドラゴンボール全巻ブックオフで買って持っていってあげたこと。中古の漫画本なんて病棟に持ち込めないから、徹夜で1ページ1ページ消毒したこと、色々聞いた。
 
鳥山先生はあまりに遠い存在すぎてとても私は伝えられなかったけど、今やその子には手の届く存在になったのだから、きっと直接お礼を言いにいけるだろう。

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 最後まで読むと、その男の子が急逝された漫画家の鳥山明さんに直接お礼が言えるとわかり、
「最後の一文で泣いた。きっと今頃お礼を直接会って伝えられてると良いなぁ。。」
「そっか、向こうで『僕ベジータみたいに泣かないで頑張ったんだよ』って鳥山先生に直接伝えられるといいね。きっと鳥山先生も、よく頑張ったねってベジータと君の並んでいる絵を描いてプレゼントしてくれると思うよ😭」
「きっとこのお子さんのように鳥山明さんに励まされて強く生きた子はたくさんいると思う。鳥山明さんが天国に行ったらきっとそんなたくさんのお子さんからたくさんお礼を言われるんだろうな」
「鳥山先生、今頃あちらの国で大人も子供も押すな押すなの大人気で、連日のサイン会は長蛇の列の盛況ぶりではと想像しています🥲」

投稿には、こんなコメントがずらりとならびました。松本さんにお話を聞きました。

──お医者さんに伝言を頼まれたのは、いつのことなのですか?

 4、5年前だと思います。語ってくださった方はたしかボランティアで小児病棟に行かれていたそうなので、学生時代のお話かと。そうすると20年ちかく前のことだと思います。

──男の子は、漫画から大切な人のために頑張ることがかっこいいと知ったのですね。

 鳥山先生の影響力と、漫画というものの持つ、娯楽だけにとどまらない力にうれしくなりました。

──向こうの世界で、同じようにお礼を伝えたい人が行列を作っているかもしれないというコメントがたくさんありました。

 こちらの人間としては、もう先生の新しい作品に触れられないことが残念でなりませんが、そういうふうに考えられるのはそれこそ先生の影響というか…。大きな喪失もそんな絵面で目を細めて想像できることはありがたいですよね。

──松本さんにとって鳥山さんの作品はどんな存在ですか?

 ドラゴンボールはもちろんですが、ドクタースランプの平和な世界観がすきでした。ドラゴンボールもブゥ編のギャグや人情が好きで大人になって読み返すとまた沁みます。ギャグのテンポが本当に神がかっていると思います。

──また最初から読み返されているそうですが、男の子のように松本さんが大きな影響を受けたシーンはありますか?

 とりわけここに影響を受けた!という点はないのですが、なんというか、鳥山先生の生んだ言葉や世界観。元気玉とか、気とか修行とかそういう感覚が当たり前のように対話の中で通用するのは、意識の中に植え付けられているからだと思います。

──たしかにそんな気がします。鳥山さんへの想いも皆さんそれぞれありますし、ポストを読んで泣いてしまった人が多くいました。

 美談として広めたかったわけでないので、聞いたお話をそのままにツイートしました。尊敬と感謝を込めて心よりご冥福をお祈りいたします。

■松本ひで吉さん X https://twitter.com/hidekiccan

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