濃縮洗剤を水溶性フィルムに包んだ「パック型液体洗剤」を子どもや高齢者が誤飲するといった事故について、国民生活センターが注意を呼びかけている。2021年には、高齢者が死亡する事例もあった。
同センターなどは15年にも同様の注意喚起を行っていたが、それ以降に「洗剤を誤って口に入れた」「目に入った」という事故情報が計54件寄せられ、うち35件がパック型洗剤によるものだった。
10カ月の女児が自宅の棚からパック型洗剤の容器を取り出し、飲み込んで嘔吐・検査入院に至ったほか、3歳の女児が洗剤を触っていたところ破れて目に液体が入り、病院を受診した事故もあった。子どもでは3歳以下の事故が目立ったという。
一方、成人の事故はすべて70歳以上だった。昨年5月には、認知症の70代男性が洗剤を1、2個誤飲。嘔吐と下痢が続き病院に搬送されたが、界面活性剤中毒から誤嚥性肺炎となり入院、その後人工呼吸管理が必要になった。
21年には死亡につながった事例も。高齢者施設に入所していた80代男性が飲み込んで搬送された。「のどが焼けて痛い」と訴えて水も飲めない状態で、肺に有毒な物質を吸い込んだ際に起こる「化学性肺炎」と診断され、3日後に亡くなった。
口に入れたり目に入ったりした場合、どうすれば?
埼玉医科大学病院の喜屋武玲子医師は「パック型液体洗剤には、濃縮された界面活性剤をはじめとして様々な成分が含まれている」とし、「中には柔軟剤や漂白剤が一体となっているものもあり、成分が身体に入ると有害な作用を引き起こす可能性がある」と注意を呼びかける。
誤って口に入れてしまい、水で口をすすぐ場合は「ぶくぶくとうがいをすると泡がたつことがあり危険なので、水を口に含んで吐き出すようにしましょう」と話す。子どもや高齢者らが洗剤を飲み込んだか判然としない場合でも、喉の痛みや嘔吐といった症状があれば医療機関への相談をすすめる。「特にむせる力が弱い高齢者は、気が付かないうちに気道に入ることもあるので注意が必要」とする。
また、洗剤が目に入った場合は手でこすらないよう注意しながら流水でよく洗い、それでも痛みが続いたり、見え方がおかしかったりする場合は医療機関を受診してほしい、としている。
国民生活センターはパック型洗剤について、子どもでなく、不用意に触ってしまうおそれのある人の手の届くところには置かないこと▷使用後は必ずふたなどをしっかり閉め、子どもらの手の届かない置き場所にすぐ戻すことを習慣づけることーなどを注意喚起している。
また濡れた手で洗剤を触ったり、ふたを開けたまま保管したりするのも要注意。洗剤同士が付いてしまうことがあるため、それをはがそうとしてフィルムが破れて中身が飛び出すリスクにつながるという。