SNS上でハッシュタグ「皆知ってる感覚の絵」が流行しています。幼いころの遊びやよく見た風景など、思い出の一コマが次々と披露される中、特に注目を浴びる1枚があります。イラストレーター水川雅也さんが描いた「帰り道」。
ランドセル姿の男子児童2人が夢中になっているのは、道路の白線の上だけを歩いて進むゲーム。白線以外の場所は深海だったり、谷底だったり。想像をふくらませて興じる遊びですが、水川さんの作品の中では全てがリアルに描かれており、アスファルトの“海”からは複数のサメの背びれが現れ、不気味に行き交う様子が見て取れます。「白線の下は海!」「落ちたら負け!」。男の子たちの興奮した声まで聞こえてきそうです。作者の水川さんに話を聞きました。
「なつかしい」「小学生の息子も毎日やってます」
水川さんによると、2021年3月の作品。
「当時は勤めていた会社を退職した直後で時間があり、昼間に散歩をしていて、遊びながら下校する小学生たちを見かけたことが着想のきっかけでした。その時の小学生たちがどういう遊びだったかは分からないのですが、自分の子どもの頃を振り返ったら『白線から落ちたらサメがいる遊び』を思い出したのでそれを絵にしようと思いました」(水川さん)
ハッシュタグ「皆知ってる感覚の絵」の存在を知った水川さんは、自身の過去の作品を公開したところ、12万を超えるいいねがつくほど話題に。
ネットユーザーからは「これやってたなあ」「わかるわー」「なつかしい」「白線の下はマグマな!もある」「ワニもあった」「小学生の息子も毎日これやってます」「昔も今もみんなやるんですね」など幼い頃をなつかしがる声が続出。大人になった今でも横断歩道を渡るときは白線から落ちないようにしているーーというおちゃめな人まで現れました。
反響の大きさに対し、水川さんは「なつかしいといった共感の声を中心に『僕はワニ派だった』『私は溶岩だった』など、それぞれの思い出を語ってくださっている方ばかりでうれしかったです。海外の方からの共感の声も多く驚きました。皆、誰かに教わったわけでもないのに子どもたちが自然と始める遊びの一つなんだとあらためて気付き、不思議な気持ちになりました」と心境を語りました。
▽水川雅也さん…1995年、岡山県出身。デザイン会社勤務を経て、2021年に独立。書籍やCDジャケット、広告のイラストなど幅広く手掛ける。大江千里さんのアルバム「Letter to N.Y.」のジャケットやTBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」番組ポストカード、KITTE名古屋のポスターなど。最新の情報は水川さんホームページ https://masaya-mizukawa.com で。