「大丈夫?」の問いかけ、「大丈夫です」以外の答えが返ってくる覚悟を持って聞いていますか?

ハイヒール・リンゴのつぶやき

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年始からすごく考えさせられるネット記事を読みました。学生時代に東日本大震災を経験したササミさんという方のX(旧ツイッター)への投稿をもとに書かれた記事。震災後、大丈夫ではない状況の時に「大丈夫だった?」と聞かれることが辛く、人と話すのが怖くなってしまったそう。

その自身の経験から、「私個人の考えですが、もし、北陸にゆかりのある方に心配しているよという気持ちを伝えたいのであれば『心配したよ、大変だったね』と素直に言ってもらえると嬉しいです」と、能登半島地震の被災者に思いを寄せておられます。

ハッとさせられたのは、「『大丈夫だった?』と質問したら『大丈夫だったよ~!』と返ってくると思っている方が多いのでは」という記述。「『家族全員逃げ遅れて…』『家が流されて…』と答えが返ってくる覚悟を持って質問してる人はどれくらいいるのだろう?」。だから「相手を困らせないようになんて答えようか迷う」とも。

私なんかはこういう仕事をしていますから、ケガをした時に「大丈夫?」と聞かれれば「大丈夫ちゃうわ!」と答えることができますが、普通の方が聞かれれば「大丈夫です」としか言いようがない。

昔、ラジオ番組のゲストとして、ソロで活動し始めたばかりのピンクレディーのケイ(増田恵子)さんに来ていただいた時のこと。同席していた放送作家さんが「タバコ吸っていいですか?」。スタジオでも楽屋でもみんなバンバン吸っていた時代ですが、ケイさんは「ちょっと嫌かもしれない」と。今から考えると最大限の意思表示だったのだろうと思います。聞く方も「どうぞ」と言われるものと想定していた。ふと、そんなことを思い出しました。

たとえ相手のことを心配しての質問であっても、「大丈夫?」は細心の注意を払って使おうと思いました。聞かれた方は生きているから大丈夫なのか、家が半壊だから大丈夫なのか、全壊でも避難できていれば大丈夫なのか…。何がどうなっていれば大丈夫なのかと混乱し、辛い記憶がフラッシュバックしてしまうと、ササミさんは書かれています。できるだけ多くの人に知ってほしいと思い、了解をいただいて今回引用しています。

震災に限った話ではありません。身内を亡くした方に、受験や就職試験に落ちた人に「大丈夫?」。よく「言葉は生き物」と言いますが、使わなくなる言葉もあっていいのでは。「大丈夫?」「大丈夫です」という言葉のラリーは廃れていくべきではないかと思うのです。

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