思春期なのに…ブラ買わないのは”毒親”では? 元下着販売員に伝えられた苦しい過去「親に胸がないと決めつけられた」「猫背になった」

宮前 晶子 宮前 晶子

「炎上してしまうかもしれないけど、やっぱり中高生にブラジャーを買い与えないのは毒親の可能性大だよ… 本当に心苦しいけど… 犯罪に巻き込まれたり、本人の望まない形で異性に見られたり、同性からもコソコソ陰で言われたりとかあるもん。ネグレクトでお風呂入れなくて言われるのとすごく似てる」

下着販売員としての経験を活かし、X(旧Twitter)やYouTubeで下着情報を発信しているちーちょろすさん(@chiichoros)。

活動を続ける中で、家庭環境、特に母親の考えによって、ブラを着けたくても着けられない学生が多いことに気づいたそう。そこで、「子供がほしい・必要と思っているのに買い与えないこと、言い出せない環境を作っていることは、ネグレクトの一種ではないか」と投稿しました。

「貧乳、と母親に決めつけられ、スポブラしか買ってもらえなかった」「うちは買ってもらえない家だったので猫背になってしまった」と経験を語るもの、「犯罪などから身を守るためのものでもあるのに」と親の姿勢を問うものもありました。

初めてのブラをつけはじめる時期は調査(※1)によると、小学5年生が最多で27.8%、僅差で4年生が27.5%となっており、小4で着用している子が増加傾向となっているそうです。

体調や体型を左右するブラは、胸もとをジロジロ見られたり、触られたりする性被害から自分を守るもので、生きていく上で必要不可欠と考えるちーちょろすさんに、中高生とその保護者のブラ購入について、詳しい話を聞きました。

世代間ギャップはブラ購入にも

ちーちょろすさんは過去に受けた相談から、母と子でブラやサイズに対する認識にズレがあると実感。「お母様にサイズを信じてもらえない、今のブラが窮屈だから悩んでいるけど買ってもらえない、そんなに胸が大きいはずがないと思われている、という声はありました」。また、ブラの使用期限を母親自身が把握しておらず、新しく買ってもらえないという悩みを持つ子も。

「まだまだ子どもだから」とからだの発達を認めなかったり、子どもと自分(親)を同一視して「私は、この年ではまだブラを着けていなかった」と言ったり、「ブラジャーをしたいなんてイヤラシイ!」と拒絶したり。

そもそも娘への無関心から、からだの変化に無頓着な親もいます。あるいは、勉強や学校、部活のこと、友達のことは親子でなんでも話せていると思っている母親でも、ブラについては無頓着で、子どもを危険に晒している可能性があると気づけていない可能性もあります。

逆に欲しくない子も…そっと提案をしてあげて

「ブラを買ってもらえない」子がいる一方、「子どもが嫌がるから買い与えられない」と悩む親も。「欲しがらない原因も、親が考える必要があると思います。“みんな着けてないから恥ずかしい”と言っているものの、他に理由があることも」とちーちょろすさん。

ブラ着用のタイミングは、バストトップが目立ってきた、揺れが気になってきたを目安にすることを提案します。ただ、そのタイミングで伝えるのではなく、「小学校中学年くらいになったら、“胸で気になることが出てきたら教えてね”と話しておいたり、一緒に下着屋さんに行ったりするのがおすすめ。お子さん自身が自分のバストの変化に気づける環境作りが大切だと思います」と言います。

自分でも自分の気持ちがコントロールしにくい時期になった子どもに、“つけなきゃダメ!!”って押し付けるなど、母親の必要以上の介入についても注意を促します。

男親の場合となるとなおさらです。「同級生男子や父親、親戚男性に成長を冷やかすようなことを言われて気持ち悪いから逆に着けたくなかったというケースはよく聞きます」というように、自身の成長を否定したくなる気持ちがわきおこりかねません。娘にとっては、父親から女として見るような性的な言葉は、何よりもおそろしくて嫌悪感をおぼえるのです。

「プライベートゾーンは親であっても見たり触ったりするのはアウトです。ましてや必要かどうかを見極めるために胸を観察するように見るのは、保護者だとしてもアウトだと私は思います。お母様でさえも気づけないケースやお母様でも判断が難しいことはよくあることです。迷った時は、とりあえず下着屋さんに行ってください。販売員はブラが必要かどうか、見ればわかります」。

親と買いに行きたがらない子には?

初めてブラを購入するときは、親と一緒に行くことが多いでしょうが、中学、高校と学年が上がるに連れ、「お母さんと行くのは恥ずかしい」「友達と買いに行く」となるケースもあります。

ちーちょろすさんは、「友達とも買いに行けるよう、中学生になったら下着や生理用品など女性の体の必需品用のお金を、お小遣いとは別で渡すのも良いと思います。また、友達と行ってもらって、後日また買いに行けるように値段を聞いてくるように伝えるなど気配りをしてあげると良いかもしれません」と、いっしょに買いものに行きたがらない子どもを持つ保護者にアドバイス。

中高生がひとりで、または友達同士で下着店に行くのは不安な気持ちを抱きそうですが、そんなときの振る舞い方を教えてもらいました。

「ブランドにもよりますが、私が元々働いていたブランドでは、中高生は“その時は買ってもらえなくても、いつか買ってくださるかもしれないお客様”という教育でした。そういった考えのブランドは多いと思いますので、不安に感じず採寸、試着、フィッティングを。特に学生さん向けのプチプラブランドの場合は、学生さんへの接客に長けているので安心しやすいはず。でも、必ず買わされるんじゃないかと不安に感じることもありますよね。そういう時は、“初めてだからいろんなショップを下見しています。私に合うブラを提案してもらえますか?”と一言いただければ嬉しいです。 特におすすめは、お客様の少ない時間帯。よりしっかりとご提案できると思います」。

「その子によって、ブラへの意識はさまざまなので対応や言葉かけを変える必要があると思いますが」と前置きしつつ、「生理と同じように胸がふくらむ前から“こうなったら着けようね”と親子で話をする、そんな親子が当たり前になればいいなぁと思います」。

自身のYouTubeチャンネル『下着の魔法使いちーちょろす』の動画<【中高生さんの下着事情】元下着販売員がお悩みに答えてみた-2024年ver->でも、中高生たちからのさまざまな質問に的確かつ一人ひとりに寄り添うアドバイスするちーちょろすさん。「お母さんにブラが欲しいと言えない人、お母さんがブラを着けることを理解してくれない人は、私のこの動画を見てもらって、知識をアップデートしてもらって」と呼びかけ、常に進化する下着情報を今後もどんどん発信していく予定です。

■ちーちょろす 下着の魔法使い @chiichoros
■You Tubeチャンネル 下着の魔法使いちーちょろす 
https://www.youtube.com/@chiichoros

※1(調査)
調査対象:普段ブラジャー(胸元二重・カップ付インナーを含む)を使用している小学4年生~中学3年生の女の子と同居の母親(女の子も同席の上代理回答)
調査地域:全国
調査方法:アツギによるインターネットリサーチ
調査時期:2022年7月19日(火)~7月20日(水)
有効回答数:679サンプル

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