規格外のヤンチャ猫
だいきちくん(2歳・オス)は、捨て猫だった。道端の側溝に隠れて3日間鳴き続けていたという。保護団体の代表である原田さんがレスキューに向かい、溝の上に車が停まっていたため、車の下に潜って泥だらけになりながら手づかみで保護したそうだ。
「だいきちくんは、規格外のヤンチャさんでした。私は20年共に暮らした愛猫を亡くした時に出会ったハチワレ猫がいたのですが、その子と同じくらいのヤンチャな子でした。だいきちくんを保護した時、そのハチワレ猫は亡くなっていたので、『あの子が生まれ変わって、また会いに来てくれたのかな?』という思い入れも強く、正直、手放すのは少し寂しいと思いました。」(原田さん)
あまりにも小さい時期に捨てられ、社会性を育む時期に親兄弟から離されてしまっただいきちくん。少しKYでワガママいっぱいの猫に育った。
「人間が大好きな子なので、先住猫がおらず、お留守番時間が少なく、だいきちくんだけに愛情を注いで下さるご家族がいいと思い、里親さんを1年以上探し続けました」
福がいっぱいある名前にしよう
大阪府在住のMさん夫妻は、2人とも実家で猫を飼っていたので自分たちでもいつか飼いたいと思っていた。また、子どもがいないので、家族を増やしたいという思いもあったという。
2023年1月、Mさん夫妻は、原田さんが主催する団体の譲渡会に行ってみた。
「だいきちを一目見た時、『この子だ!』と直感で思いました。ケージに入っていても外の鳥が気になってソワソワしていて、『なんてマイペースな子なんだ』と。それもウチの子になって欲しいと思ったポイントでした」
名前は、縁起のいい名前で、福がいっぱいある名前にしたかったので“だいきち”と名付けたそうだ。
家に迎えた初日、「だいきち〜」と名前を呼ぶと、だいきちくんは走って駆け寄ってきた。「え?初日だよな?って思ったのを覚えています。ただ、慣れない環境でなかなかご飯やトイレをしてくれなくて、初めの1週間はずっと心配していました」
夫のIQが下がった?
性格はめちゃくちゃ甘えん坊だが、ヤンチャな一面もある。とにかく遊ぶのが大好きで、お気に入りのおもちゃを投げると拾って持ってきたり、おもちゃを持って来て遊びに誘ったりする。
「遊んでいない時は私の膝の上が好きなのか、よく膝の上でひっくり返って寝ています。だいきちを迎えて、いっぱい遊んで笑わせてくれるので家の中が前よりももっと明るくなりました。夫は仕事の疲れなども取ってもらっているみたいです(笑)」
「夫は、買い物に行くと、だいきちが喜びそうな物やおやつはないかと血眼で探します。あと、家でのIQが下がった思います(笑)。人には見せられないぐらいだいきちとおしゃべりしてるので(笑)」
夫妻はだいきちくんを我が子同然に溺愛している。